第28話:朝日の天使
ディランとの激しい魔法模擬戦を終えた次の日の朝、力尽き倒れたトムは、グリフォン城のとある部屋のベッドに寝ており、そして目を覚ます。
トムの心の声「あれ…? ここは…? そうか…確かディラン王子と模擬戦をしてて…」
などと気を失うまでの経緯を思い返しながら、右隣をふと振り向くと…
ユリア「スゥー…」
トム「えっ!?」
なんとトムのとなりにユリアが寝ていたのである。
トムは当然のことながら驚き、その反動で上半身だけ起き上がった。
すると窓から差し込む朝日の光に照らされながら、ユリアが目を覚ます。
ユリア「う〜ん…。おはようございます…トム様」
その光景を目の当たりにした途端、トムの中からさっきまでの動揺が収まり、むしろユリアに魅力されていた。
きょとんとしながらユリアを眺め、トムはこうつぶやいた。
トム「天使だ…」
ユリア「そんな…。天使だなんて…」
トムに天使と言われ、顔を赤らめながらも喜ぶユリア。
するとトムは我に返り、再び動揺し始める。
トム「いやいやいや、なんで僕のとなりで寝てるんですか!?」
ユリア「トム様が早くお元気にやるように、私も添い寝させていただいたのです!」
トム「そういうのはまだ早すぎるますって!」
ユリア「遠慮しないでください! あと
5分…いえ3時間だけ!」
トム「伸びすぎ〜! 5分から一気に伸びすぎですって!」
相変わらずトムにめっちゃ懐いているマリー。
いかにディランと対等に渡り合ったトムでさえ、たじたじであった。
そこへマリーとバニラが部屋に入ってきた。
マリー「トムくんおはよう! 体大丈夫?」
模擬戦で倒れたトムくんが心配で、ハルカやノワ共々、グリフォン城で1泊させてもらっていたのである。
そんなマリー達は、ベッドの上でトムとユリアが戯れあっている光景を目撃する。
トム「マリー、これはその…」
マリー「ハルカちゃん、みんな〜! トムくんとユリア様がイチャイチャしてるよ〜!」
マリーは満面の笑みをしながら、バニラと共に部屋を後にし、ハルカ達に今の光景を報告しに行った。
トム「おい〜〜〜!! 誤解を招くような言い方するな〜〜〜〜〜!!」
そして数十分後、
トムとマリー、さらにハルカ、メロス、マリー、ノワ、ディラン、ヒース、ドロシー、ゲンによる一同は、食事をする部屋に集まり、皆でテーブルに座っていた。
さきほどの件で、ディランとカレンに睨まれているトムとユリア。
ディラン「まったく、男女が一緒のベッドで寝るなど、ちょっと早すぎだろ」
トム「ごもっともです…」
ユリア「まったく、お兄様もケチですね〜」
カレン「ユリアもあんまりしつこくするのはよくないぞ」
ちなみに一同が座っている中、カレンのテイム魔物であるフレイムフォックスのドロシーはそのふさふさのしっぽを揺らしながら、バニラと遊んであげていた。
ディラン「それはそうと、ハルカと言ったな。お前に1つ聞きたいことがある」
ハルカ「はい、なんでしょうか?」
ディラン「お前、異世界人だろ?」
ハルカ「えっ…?」
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