第27話:認め合う強者達
お互い最強技を使用したことにより、体力も魔力も激しく消耗してしまったトムとディラン。
するとディランは戦いの中断を所望。
それを聞いたゲンの権限により、2人の魔法模擬戦は引き分けで幕を閉じた。
トム「ど、どうして…?」
意識が朦朧としながらも、何故戦いを引き分けで終わらせるよう頼んだのか聞いてみるトム。
ディランはこう答えた。
ディラン「これはあくまで模擬戦だ。同じく最高の技で対応し、消耗したお前をこれ以上痛ぶるのは性に合わなくてな。最高のバトルを感謝する!」
トム「いえ…こちらこそありがとうございました!」
この模擬戦をとうし、トムのことを認めたディラン。
そんな2人を讃えるかのように、ハルカ達観戦者一同は笑顔で拍手をした。
マリー「トムくん達すごかったね!」
ハルカ「そうだね!」
ノワ「天晴れだったな」
ユリア「さすがはお兄様とトム様です!」
ディラン「なぁトム。いつかまた、オレとバトルしてくれないか? お前と戦うのは実に面白い」
トム「もちろん喜ん…」
トムはディランからの再戦の申し出を快く受けようとした最中、力尽きて倒れてしまった。
そんなトムを心配して駆け寄るハルカ達。
マリー「トムくん、大丈夫!?」
ユリア「お気を確かに!」
ハルカ「大丈夫。魔力を使い果たして気を失っただけみたい」
ハルカの言葉に、マリーとユリアは安堵した。
一方、倒れているトムに優しい眼差しを向けるディランのもとへ、ヒースとカレンが寄ってきた。
ヒース「お疲れディラン!」
ディラン「ヒース、皆を守ってくれてすまないな」
ヒース「いいってこと。にしてもあんなに楽しそうに戦うディランを見たのは久しぶりだったね」
カレン「彼ならユリアを任せても大丈夫だろう」
ディラン「だな。なんせこのオレをこれほどまで手こずられてくれたんだ。各国の王子王女以外じゃこいつが初めてだ」
するとそこへ、ゲンもヘラヘラとした感じで笑いながら、ディランに近づきこう言った。
ゲン「とかなんとか言って、ガキの頃の剣術修行でこのオレにコテンパンやられてたじゃないスか」
ディラン「余計なこと思い出させるなよ師匠!」
なんとゲンはかつて、ディランに剣術を教えていた師匠でもあったのだ。
過去の嫌な思い出で触れられ、ゲンを叱るディラン。
そんなディラン達の微笑ましい掛け合いをよそに、倒れているトムの表情は、どこか満足したような清々しい顔をしていた。
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