第25話:トムVSディラン(前編)
ユリアの兄ディランからの戦いの申し出を受けたトム。
そんな2人を含めた一同は、城外にある模擬戦場へと移って行った。
土混じりの風が吹き荒れるフィールドで向かい合うトムとディラン。
ユリア「トム様〜、お兄様〜! どっちもがんばってくださ〜い!」
戦おうとしている2人を両方応援するユリア。
ゲン「これより、グリフォン王国第1王子ディラン・アークバン様と、デカム・フェザール伯爵のご子息トム・フェザールによる魔法試合を行う!」
ギルドの会長であるゲンが2人の試合の審判を行うようである。
ゲン「各自宣誓を!」
トム「成長のために魔法を行使し!」
ディラン「勝利のために魔法を行使する!」
トムは真剣な表情、ディランはクールにて笑いながら、お互い戦闘の構えをとり始めた。
トム、ディラン「名誉ある戦いのために!」
ゲン「バトル、スタート!」
ゲンの力強い号令と共に、トムとディランによる戦いが開始された。
トム「サンダーバレット!!」
まずは先手必勝、トムが指先から緑色に輝く針状の電撃エネルギー弾を、ディラン目掛けて発射した。
ところがディランは右手の拳でブンっと振り払い、電撃エネルギー弾による射撃を防いだ。
振り払った電撃エネルギー弾は、水切りの石のごとく、3回ほど地面を跳ね返り、そのまま消滅した。
マリー「タールくんのアクアゴーレムを倒したサンダーバレットを手だけで!?」
ディランの並外れた防御力に驚くマリー。
ディランの心の声「初級のサンダーバレットでこの威力…面白い!」
潜在能力を解放してもらい、強化されたトムのサンダーバレットを防いだものの、そのディランの右手は痺れていた。
だがディランはより奮い立つのであった。
ディラン「サイクロンメーザー!!」
次にディランは、左手の指先から、紫色に輝く風のレーザービームを発射。
対するトムは腕を×字にクロスさせ、ディランの風のビームを防いだ。
両腕を開いた直後、ビームは拡散し、消滅した。
次にトムは両手の拳に雷の魔力、ディランは両手の拳に風の魔力を付与し、お互いそのまま勢いよく距離を詰め、魔力を込めたパンチをぶつけ合った。
さらにその後も、お互いにフィールド上を縦横無尽に移動、ジャンプし、魔力を込めたパンチを連続で繰り出していた。
トムとディラン、2人の実力はまさに互角であった。
そんな2人の激しい戦いは、観戦していた一同を魅了していた。
カレン「まさかこれほどとはな」
ヒース「今のところほぼ互角だね」
マリー「トムくんすご〜い!」
そんなハルカは少し疑問に思うことがあった。
ハルカ「ツッコんじゃいけない気がするけど、途中から格闘戦になってない? なんかバトル系の少年漫画みたい」
メロス「お互い拳に魔力を込めているので、一様セーフではありますね」
テレパシーを活かしたメロスの説明により、一様納得するハルカ。
魔力を込めた殴り合いを一旦やめ、再び距離を離れる2人。
するとディランがトムに対してこう問いかけた。
ディラン「トム、1つ聞きたい!」
トム「?」
ディラン「今オレと戦えて、怖いか? それとも嬉しいか?」
トムはその問いかけに、勇ましい笑顔でこう答えた。
トム「両方ですね! 今も怖くて胸が苦しいですが、この国で1番強い魔法使いであるあなたと戦えてるんです! これほど光栄なことはありませんよ!」
その答えに、ディランはクールに微笑んだ。
ディラン「実にいい答えだ…! そんなお前には、オレのすべてを受け止める資格があるようだ!」
カレン「ディランのやつまさか!」
ヒース「あれを使う気なのか!?」
ノワ「テンペストランチャーか…!」
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