第22話:カフェ酒場モグでの休息
激戦の末、デーモンコボルトを仲間に加え、ノワという新しい名前をさずけたハルカ達は、ジャスシティーの冒険者ギルドへと帰還した。
受付嬢のエルーニャは、人間に化けているとはいえ、ノワがハルカ達と一緒にいることを気にしていたが、「依頼の最中に出会った旅人であり、意気投合して仲間になった」とハルカに説明されて納得する。
依頼完了の報告を終えた一同は、マリーの要望通り、ギルド近くのカフェ酒場モグへと向かった。
カガリおばさん「パンケーキお待ち!!」
モグでは、カガリというドワーフの中年女性が美味しい料理とスイーツを作り、お客さん達を元気におもてなししている。
他にもバイトが数名ほど共に働いている。
そんな彼女を多くの客達は「カガリおばさん」と呼んでいる。
カガリおばさんがハルカ達のいるテーブルに運んだパンケーキは2種類。
トムとノワが頼んだのは、バターが乗っかり、メープルシロップがかかっている王道のバター&メープルパンケーキ。
ハルカとマリーが頼んだのは、イチゴとホイップクリームが乗っかっている流行のイチゴ&ホイップパンケーキ。
どのパンケーキも実に絶品であり、食べた経験のあるマリーとトムはもちろん、今日初めてのハルカとノワも気に入らせた。
トム「王道のバター&メープルこそが1番だ!」
マリー「流行のイチゴ&ホイップの方がめちゃくちゃ美味しいよ!」
ところが食べている最中、どっちのパンケーキが美味しいかで、マリーとトムが再びケンカし始めたのであった。
トム「王道だよ!」
マリー「流行だよ!」
お互い睨み合いながら、王道か流行かで言い合う2人。
するとノワが…
ノワ「フンっ! くだらんなぁ…。バター&メープルこそ最も美味である! 他の味付けなど邪道! 言語道断!」
2人のケンカを止めるわけでもなく、バター&メープルを推す発言を高らかにし出した。
トム「さすがノワ! 気が合って安心したよ!」
マリー「ブ〜」
同じものを好きなことを知り、ノワに感心するトム。
そんな2人をマリーはほっぺたを膨らませながら睨んでいた。
するとハルカは手を2回叩き、呆れた表情をしながらこう言った。
ハルカ「はいはい! ケンカおしまい! 仲直りしたはずでしょ!」
トム「これはその…」
ハルカ「1回お互いのパンケーキをシェアしてみたら? 試しに違う味を堪能するのもアリだと思うよ!」
マリー「シェアって?」
トム「交換、食べ比べか!」
ハルカの提案により、トムとノワはイチゴ&ホイップを、ハルカとマリーはバター&メープルをそれぞれ1口交換して食べてみた。
マリー「あっ! なんだか懐かしくてこっちも美味しい!」
トム「うん、イチゴ&ホイップも中々イケるかも!」
ノワ「バター&メープルには一歩及ばぬが、これはこれで美味であることは認めざるおえんな」
お互いのパンケーキの美味しさも理解し、ケンカ収まり、マリーとトムに再び笑顔になった。
ノワも一様、バター&メープル以外の味を気に入ったようであり、クールに微笑んだ。
そんなみんなを見つめ、ハルカは安心した。
カガリおばさん「いや〜うちのパンケーキをより気に入ってくれて良かったよ〜!」
すると突然、カガリおばさんが満面の笑みをしながらハルカ達を褒めて来た。
これにはハルカ達は驚いた。
カガリ「これからもうちの店、よろしく頼むよ!」
と元気よく言って、その場を去っていくカガリおばさん。
ハルカ「カガリおばさんって、めっちゃ元気いいんだね…」
少し引きながらそうつぶやくハルカ。
ノワ「ハルカよ、さきほどの戦いから気になっていたのだが、お主もしや…」
エルーニャ「お食事中に失礼します!」
ノワがハルカに何か質問しようとした矢先、受付嬢のエルーニャが尋ねて来た。
マリー「エリーニャさんだ!」
ハルカ「どうかしましたか?」
エルーニャ「ギルドマスターであるゲン会長がお呼びです。特にトム様にご用があるだとか」
トム「僕に?」
ギルドマスター直々の召集。
その訳とは…?
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ちなみに僕はイチゴ&ホイップ派ですね!




