第21話:幻の魔物も仲間入り!?
仲間割れなどのトラブルはあったものの、魔犬王デーモンコボルトに一矢報いたハルカ達。
だがそんなデーモンコボルトは体をふらつかせながらも立ち上がり、ハルカ達にこう言った。
デーモンコボルト「み、見事な連携であった
…。我の負けだ…。トドメをさすといい…」
ハルカ達の力量を認め、トドメをさすよう頼むデーモンコボルト。
するとハルカは右手をそっと差し出し、回復魔法をデーモンコボルトに大して発動した。
マリーのハイドロサーベルで負った傷もみるみるうちに治り、消耗していた体力も完全に回復していった。
デーモンコボルト「き、傷が!? 何故我に回復魔法を!?」
デーモンコボルトは当然のことながら困惑した。
すると一方のハルカは優しい眼差しをしながらこう答えた。
ハルカ「あなたは他の魔物と違ってメチャクチャ凶暴じゃない。戦ってみてそう感じたの。だから倒すのがもったいないと思って」
そんなハルカの答えを聞き、デーモンコボルトは軽く微笑んだ。
デーモンコボルト「我が凶暴ではないか…。甘い女子だ…。だが気に入った! 我をお主達の下部にしてくれ!」
デーモンコボルトは膝ま付き、ハルカにそう頼んだ。
それを聞いたハルカは…。
ハルカ「悪いけど下部はお断り。でも友達として、仲間としてならいいよ!」
ハルカは優しい笑顔でそう答えた。
デーモンコボルト「仲間か…。よかろう! 今日から我はお主達の仲間として尽力することを誓おう!」
膝ま付いていたデーモンコボルトは再び立ち上がり、高らかにそう宣言した。
マリー「すごいよハルカちゃん! あのデーモンコボルトを仲間にしちゃうなんて!」
メロス「さすがですね、ハルカ様!」
ハルカを褒め称えるマリーとメロス。
するとトムは慌てながらこう言った。
トム「ちょっと待って! 仲間に加えのは構わないんだけど、デーモンコボルトは幻の魔物と恐れられているんだよ! 一緒に町をぶらついていたら大騒ぎどころじゃ済まないよ!」
ハルカ「あ、言われてみれば!」
デーモンコボルト「案ずるな。こんなこともあろうかと、人間に化ける魔法なら習得している」
デーモンコボルトは冷静な顔をしながら、変化魔法を発動し、その体を紫色の光に包ませた。
光が晴れると、デーモンコボルトの姿は、恐ろしい犬型の魔物から、人間の美青年へと変わっていた。
髪の色は黒く、身長も2メートル近くまで縮んでいた。
見た目の年齢はハルカと同い年、あるいは少し上くらいでほぼ間違いないだろう。
デーモンコボルト「これで問題なかろう」
マリー「うわ〜! かっこいい!」
ハルカの心の声「確かに私のいた世界じゃアイドルグループとかでも通用しそう」
マリー「そうだ! せっかく仲間にしたんだから、バニラちゃんみたいなニックネームを付けてあげようよ!」
メロス「確かにデーモンコボルトだと少し長いから呼びづらいですよね」
デーモンコボルトの心の声「喋るスライム…ますます不思議な連中だな」
マリー達がデーモンコボルトの呼び名で盛り上がっている一方、当の本人はメロスにやや疑問を抱いていた。
ハルカ「そうだなぁ…デーモンコボルトは黒い…黒…ブラック…ノワール…ノワ! ノワくんなんてどう!?」
ノワ「ノワか…。いい呼び名だ」
こうしてデーモンコボルトの呼び名は「ノワ」となった。
本人も一様気に入っているようだ。
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