第17話:仲の悪い2人
ハルカとトムが冒険者となり、マリーと共にパーティーを結成して1週間ほど経った。
3人は並外れた戦闘力と魔法を駆使し、様々な依頼をこなしていた。
ちなみにトムはジュネッスでの学業もあるため、その授業終わり、または休日にて冒険者活動に参加している。
今日もハルカ達、さらにはバニラもジャスシティー付近の森林地帯にて、今日の依頼である犬型魔物のコボルト達の退治を行なっていた。
マリー「やったー! コボルト全員撃破ー!」
トム「まったく、無事勝てたのは良かったけど、調子に乗りすぎだぞマリー!」
マリーが喜んでいる一方、トムはそんな彼女に指摘をした。
ところどころマリーとトムが自分達の戦闘スタイルの違いでケンカをするようになり、ハルカ達のパーティーは決して順風満帆というわけではなかった。
トム「だいたい君は1人で突っ走りすぎなんだよ! もう少し僕やハルカさんのことも配慮してだなぁ…」
マリー「よちよち♪ バニラちゃんもがんばったね〜!」
バニラ「ミャ〜♪」
だがトムが説教しているにも関わらず、それを無視し、マリーはしゃがみながら、バニラの頭をなでていた。
バニラもとても気持ち良さそうにしていた。
トム「おい〜〜〜!! 何無視してバニラを可愛がってるんだ!?」
マリー「だってトムくんの説教飽きちゃったんだもん」
トム「そんないい加減な態度を取っていると後で後悔することになるぞ! そもそも人の話をちゃんと…」
マリー「モコモコ〜♪」
マリーは再度トムの説教を無視し、今度はハルカの腰から生えている黒いしっぽをほっぺでスリスリしていた。
ハルカも幸せそうな顔をしていた。
トム「だから無視するな〜〜〜!! てか何勝手にハルカさんのしっぽスリスリしてんだ!?」
マリー「でもハルカちゃんとても気持ち良さそうにしているよ」
トム「確かにハルカさん喜んでるし別にいっか! いやよくないから!!」
ご丁寧にノリツッコミまでしてくれるトム。
するとハルカはそんなケンカするマリーとトムをなだめ始めた。
ハルカ「2人共、ケンカはやめよ! 今は無事に依頼を達成できたことを喜ぼうよ!」
トム「まぁ…そうだね」
ハルカ「後マリーちゃん、次からしっぽとかを触るときは、一言掛けてからにしてね」
マリー「分かった、ごめんなさい」
とりあえずハルカの説得により、2人のケンカは収まった。
その後、3人はギルドカードを取り出した。
するとカード右下の四角い枠に赤い○のマークが浮かび上がった。
このギルドカードには特殊な鑑定魔法が施されており、依頼成功と感じ取ると赤い○、失敗と感じ取ると青い×が浮かび上がるのだ。
ハルカ「ちゃんと○が付いたし、ギルドに戻ろっか!」
マリー「ねぇねぇハルカちゃん! 報告終わったらモグ行こうよ!」
トム「カフェ酒場モグか…。前にも行ったことあるけど、あそこのパンケーキは絶品だよね!」
ハルカ「じゃあエルーニャさんへの報告が終わり次第、そのモグでお茶しよーう!」
マリー「おー!」
バニラ「ミャ〜!」
だが喜んでいる一同の前に、さらにコボルトが5体出現した。
ちなみにコボルトは犬型の魔物ではあるものの、ゴブリンやオーク同様、2足歩行で移動できる。
ハルカ「またコボルト!? 依頼は達成したのに!?」
メロス「おそらくさきほどのとは別の群れでしょう」
マリー「よぉーし! ならさっさと倒しちゃおう!」
再びコボルトに立ち向かおうとするハルカ達。
だがそのとき、一同は何かを感じ取った。
ハルカ「みんな感じた…?」
マリー「う、うん…」
トム「寒気がするほどの…すさまじい魔力だ…!」
恐るべき魔力を感じた直後、ドスン、ドスンと足音が森林中に鳴り響き、何かが一同のもとに近づこうとしていた。
するとコボルト達は、突然怯えた表情をし、ハルカ達の前から逃げ出した。
どうやら恐るべき魔力にコボルト達は恐れをなしてしまったようだ。
そしてその魔力を醸し出している存在がついにハルカ達の前に出現した。
トム「あ、あれは!?」
そこへ現れたのは、身長2メートル以上はある、全身漆黒の毛並みで覆われ、コボルト同様の2足歩行の犬型魔物であった。
???「グオ〜〜〜〜〜!!」
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