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第16話:冒険者登録

 トムが優勝をおさめたジュネッス魔法剣術学園主催のマジックバトルコロシアムが終了した翌朝、ハルカとトムは、冒険者登録をするため、マリーと共にジャスシティの冒険者ギルドを訪れていた。

 中には人間はもちろん、獣人、エルフ、ドワーフといった様々な種族の冒険者達が入り浸っていた。

 マリーは受付場にて、受付嬢であるエルフのエルーニャ・シオに元気よく挨拶をした。

 エルーニャは見た目から察するに、だいたいハルカと同い年くらいと思われる。


マリー「エルーニャさん、おはよう〜!」


エルーニャ「おはよう、マリーちゃん!」


それに対し、エルーニャも爽やか笑顔で挨拶をした。

 するとエルーニャは、マリーの周囲に浮いているバニラに注目した。



エルーニャ「あれ? それってもしかして、フェザーキャット!? 可愛い〜♪」


バニラの可愛さに思わずメロメロになってしまうエルーニャ


マリー「バニラちゃんだよ! この間テイムしたんだ!」


バニラ「ミャー!」


エルーニャ「えっ、テイムもできるようになったね!?、すごいね!」


エルーニャはテイムができるようになったマリーを意外に思いながらもそんな彼女を褒めた。


エルーニャ「ちなみにそちらの2人は?」



エルーニャはマリーの側にいるハルカ達についても訪ねた。

 ハルカは自己紹介を始めた。


ハルカ「初めてまして、高畑ハルカです。おとといマリーちゃんと知り合い仲良くなりました」


エルーニャ「タカハタハルカ…。変わった名前ですね。タカハタが名前ですかね?」


ハルカ「あ、いえ。 ハルカが名前です。 紛らわしくてすみません」


この世界ではハルカのいた世界のアメリカなどと同様、名前が前で苗字が後ろである。

 ハルカは後ろの方が名前であることを丁寧にエルーニャに教えた。

とりあえずエルーニャは納得してくれた。

 次にトムが自己紹介した。



トム「僕はトム・フェザールといいます」


するとその名を聞いた途端、エルーニャは驚いた。


エルーニャ「え〜!? あのデカム・フェザール様の息子さん!?」



そこへハルカは、驚いているエルーニャを落ち着かせるかのようにこう言った。


ハルカ「あのー、エルーニャさん。私達マリーちゃんとパーティーを組みたいんです。冒険者登録よろしいでしょうか?」


エルーニャ「あぁ、失礼しました。もちろんです」





 気を取り直して、エルーニャは冒険者登録のためのプリントをハルカとトムに手渡した。

 プリントには名前や年齢、ジョブなどを記しる欄があった。

 2人は当然、ジョブの欄には「魔法使い」と記入した。

 さらに「魔法使い」と記入した人への質問として、使える属性を記入する欄もある。

 トムは「雷」と記入したが、ハルカは悩んでいた。

 何故なら大聖女ミトンズの加護により、ハルカは炎、水、風、土、雷、氷の6属性すべての魔法を使えるのである。

 さすがに6属性使えるなんて書いてたらさっき以上に大騒ぎになる。

 ハルカは心の中でそんなことを恐れていた。

 なので適当に3属性描こうとしていた。



メロスの心の声「お待ちくださいハルカ様。ここは2属性に絞った方が得策かと」


そこへメロスがテレパシーでハルカの頭に話しかけた。

 ハルカも心の声で受け答えした。


ハルカの心の声「どういうこと、メーくん?」


 メロスは引き続きテレパシーを使いこう教えた。



メロスの心の声「調べたところ、このギルドに所属している一流の魔法使いですら、2属性使いこなすのがやっとのようです。3属性、またはそれ以上の属性を使う魔法使いは、各国を探し回っても、ほんの数人しか存在しないほど貴重な存在なのです」


ハルカの心の声「そうだったんだ…。教えてくれてありがとう! じゃあとりあえず、炎と風の2属性にしとくね!」


メロスの心の声「恐れ入ります」



 メロスの助言を受け、属性の欄に「炎」、「風」と記入するハルカ。

 書き終えたプリントをエルーニャに提出するハルカとトム。

 


 それからしばらくして、プリントに記載されたデータを元に、2人の冒険者証明カードが完成した。

 エルーニャは完成したカードをハルカ達に渡した。

 

エルーニャ「こちらがお2人の冒険者証明カードとなります。申し遅れましたが、このジャスシティー冒険者ギルド受付嬢のエルーニャ・シオと申します。何か分からないことがありましたら、何なりと質問してください。それではご武運を!」


ハルカ「ありがとうございます!」


トム「がんばります!」


マリー「これからみんなでがんばろうね!」


ハルカ「うん!」


かくして、ハルカとトムは冒険者デビューし、マリーとパーティーを結成したのであった。

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