第12話:因縁の対決
ユリン「バトルエンド! 勝者、トム選手!」
3年のゴメスに見事勝利したトム。
驚きのざわめきと称賛が観客席から混じり合って鳴り響いていた。
ハルカやマリー達はこの勝利を当然喜んでいた。
一方タールの取り巻き2人は、そんなトムの勝利に困惑していた。
ゴップ「おいおい、ウソだろ!?」
イカン「あのゴメス先輩をいとも簡単に!?」
だがタールは2人と違い、まだ余裕な態度をくずしてはいなかった。
タール「うろたえることはないさ。あの人は攻撃力は高いけど、マヌケな部分も強調しているからね。1年のトム相手に油断しすぎただけだよ」
ゴップ「そ、そうだよな? 別に実力で勝ったわけじゃねぇもんな」
焦りが完全に消え去ったわけではないが、トムの見解をとりあえず受け入れるゴップ達。
その後、試合はどんどん進んでいった。
ユリン「勝者、タール選手!」
タール「ダメじゃないですか先輩〜! 弱いくせに僕に歯向かったりするから!」
ユリン「勝者、トム選手!」
トム「よし!」
そんな中、トムとタールはどんどん勝ち進み、準決勝で戦うことが決定となった。
ユリン「これより、トム・フェザール選手とタール・ジャブズマン選手による、準決勝を開始いたします!」
トムはタールを睨み、一方のタールは彼を見下すような嫌な顔をしていた。
タール「運がいいとはいえ、準決勝まで勝ち登るなんてさすがじゃないか。でも調子に乗ってられるのもそこまでだよ」
トム「その言葉、そっくりそのまま返してやるよ!」
ユリン「それでは各自、宣誓を!」
トム「成長のために魔法を行使し!」
タール「勝利のために魔法を行使する!」
トム、タール「名誉ある戦いのために!」
ユリン「バトル、スタート!」
ユリンの掛け声と共に、準決勝が開始された。
するとタールがこんなことを言い始めた。
タール「手を抜いても君に勝つのは容易いけど、今回は特別に僕の本気堪能させてあげよう! カモン、アクアゴーレム達!」
タールがそう叫ぶと、その後ろの地面から水が7発、噴水のように噴き上がり、人型へとみるみる姿を変え、身長2メートル以上はある水の巨兵・アクアゴーレムが7体誕生した。
メロスの調べによれば、アクアゴーレム1体1体、タールの莫大な魔力によってパワーがアップしているようである。
その上、アクアゴーレムは弱点属性である雷、土、氷の魔法をくらえば1撃で消滅するが、タール特製の個体は防御力もアップしているため、いかに弱点属性であっても中級の魔法でも撃破は困難となっている。
強力なアクアゴーレム軍団を召喚し、完全に勝ち誇り、高らかに笑うタール。
タール「はーはっはっはっ!! 見たまえ、僕の最強軍団を! 痛い目にあいたくなければさっさと降参でも…」
トム「サンダーバレット!!」
だがトムは、タールが喋っている最中に、指先から針状の電撃エネルギー弾を、彼の真後ろにいるアクアゴーレム目掛けて発射した。
タール「あれ…?」
タールが後ろを振り向いた時には、後ろのアクアゴーレムは無数の水しぶきとなって消滅していた。
タールはまさに何が起こったのか理解できず、マヌケな顔をしていた。
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