宇宙に散りて大地に目覚める~世界塔誕生!
私の自作ハイファンタジー群像劇『レインボーボンズ』シリーズの全ての始まりを書いた短編小説です。
ここは太陽系の宇宙、巨大な白銀の槍を携えた白銀の巨大な女性騎士が虚ろな表情で宇宙をさまよう中、地球に見とれていた。
それから間もなく遠くの宇宙より隕石がやって来た。
隕石は地球の方にまっすぐ向かってきた。
このままでは隕石は地球に衝突するであろう。
隕石の軌道に気付いた女性騎士は隕石の針路上に入り地球への衝突を阻止に向かい、隕石に槍を突き立てた。
隕石は砕けるも、その欠片の一つが彼女の腹部に直撃し、白銀の甲冑を穿った。
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
女性騎士の腹部から七色の閃光と共に爆発が発生し、彼女の身体が真っ二つに張り裂け、彼女は悲鳴を上げた。
女性騎士が目を覚ますと、近くには白銀の槍が地面に突き刺さっていた。
その先には様々な自然で溢れており、空には太陽、うっそうと生い茂る森林、大きな湖より広い海に続く河、何より岩山の上から流れる滝の下には虹が出来ていた。
(ここは……、どこ……?わたくしは……、一体……?はっ……、そういえば……、わたくし……、星を守るために……、岩から身を挺して……。あれ……、身体が元に……。)
女性騎士は突然の光景に戸惑いつつも、自分の宇宙での経緯を振り返った。
そして、張り裂けた筈の自分の身体が元に戻っている事に気付いた。
『お目覚めですか?女王様。』
どこからともなく何者かが女性騎士に声をかけた。
「あなたは……、誰……?何故……、わたくしを……、女王と……?それから……、どうして……、身体が元通りに……?」
女性騎士は相手が何者か気になると同時に、自分を何故女王と呼ぶのかも気になった。
『わたくし達はカムイであるあなたの身体の中にいたエレメントです。あの日、あなたが地球を隕石から身を挺して守った際の爆発によって宇宙に飛び散りました。宇宙に飛び散った様々なエレメントが集まってこの「世界塔ブルドラシル」が誕生したのです。わたくし達エレメントは隕石と衝突する前からあなたの事を「戦女王クイーンヴァルキリー」と称しておりました。そして、隕石との衝突によって傷ついたあなたの身体が再生されたのはあなたの属性でもある虹のエレメントによるものです。戦女王様、改めて宜しくお願い致します。』
エレメントは戦女王にこれまでの経緯を伝えた。
「そう……、わかりました……。(この世界……、とても美しい……。)」
戦女王は頷いた。
エレメントや自然、何よりあまねく生命の営みに触れていく中、ただ虚ろに宇宙を彷徨うだけの存在だった彼女は、やがて、『クイーンガーディアン』の一体として、世界塔ブルドラシル内のあまねく魂を育む使命に目覚めていくのだが、それは別の物語。