イキタイとノゾム者
階下から音が駄々洩れな時点で察して欲シイ。
私の前にそそりたつのは遺品かも知れぬ布を被った姿見。
猫属主人は居なくなったけど、次の主人の姿を映すであろう
未来を夢見て布を被り、今は眠ってる。
だけど、私はそれに掛けられた布を取る必要はナい。
彼女は彼女なりに恐れてたのよね。「遠見の魔法」の存在を。
名前は私が勝手につけてみた物だけど、監視用の魔法の
媒体は大概「鏡」であるらしい事は確か。・・・監視カメラかな?
白雪姫に出てくる魔法の鏡は多分そんな魔法が掛かってる
と思われるけどこの際どーでもイイ。布さえ捲らなければ
多分魔法は発動しないだろうから。
さて。木を隠すのであれば森の中。様々な素材を混ぜたり
して使う技術でもある「錬金術」を隠すにはその媒体の中に
違和感なく忍び込ませてしまえばまず他人に見つかる事は無い。
某朝の魔法少女アニメの変身グッズじゃないけれど、女性の
憧れでもあるアイテム達と同じ様なモノを彼女も使ってた。
ま、早い話が「化粧品グッズ」に偽装した「錬金用具箱」を
彼女は常に持ってたって訳。お散歩ぶっ倒れ事件の時は別だけど。
獣人なのにお化粧品いる?いらんでしょ。と思うソコの貴方!
それは違うわ。
リアルな動物達だって身だしなみ位はするし、お化粧だって
ちゃんとやってる場合もあるのよ?だから彼女もする。してた。
スケスケネグリジェがある時点で用途は大概アレだけど。
コホン。まぁそういう訳なので普通ならば鏡の手前の箱の上に
置いてある化粧品類がソレだと思う罠。
だけどネ。彼女はそれは全部囮だと言ってたわ。もし万が一、
鏡に魔法が掛けられていて、鏡の向こう側の術者に自分の切り札が
何処にあるのかを分からなくする為に。
でもそれと同時に常にそこにある物の中にある。のだとも
私にヒントを与えてくれたのよ。鏡に映る彼女と共にあって
尚且つ違和感を抱かせない物。それはつまり見飽きた光景で。
答えは私の背中側の「背景」の中にある。
タイトルは駄洒落ではありませんが悪魔でも偶然で他意はアリマセン(白目。