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路傍野姫狐  作者: きつね耳モフモフ
3/29

存続ヲ願ったモノ

 生存方法は一つだけだとは限らナイ。キマグレ猫は故にタイジョウした。

カチャリ。私はそーっとドアを開けてみる。2階の廊下には

やはり誰もいない。聞こえてくるのは階下の喧騒のみ。

 尚私の部屋のお隣は現在は無人である。

   なんせ私よか先にこの家から居なくちゃったからね。

かつてこの家の主たる虎男の愛妾の一匹だったらしいケモノヒト。

 彼女は私を家の外へと連れ出そうとした事でその立場を失った。

理由は単に私が出された瞬間にパニ喰って気絶しちゃったから。

 多分本人的には私を散歩に連れ出す様な感覚だったのだろう。

彼女は私が覚えてる限り全力であの男に媚びてたから。

 気紛れなご機嫌取り。部屋の隅っこでイジイジしてばかりの

私に気遣いをして、せめて太陽の下で私を遊ばせたかっただけ。

 なのに彼女もまた、なけなしの親切心を起こしたばっかりに

最後はワンワンオな連中の中に放り込まれてここから姿を消した。

 しかも虎男はその哀れな姿を私にわざわざ見せつける事で、

下手に逃げればオマエもこうなると私に残忍に笑ってた。

 最後の瞬間は私は観てないので命だけは助かってるかもだけど

恐らく彼女はあの汚小部屋に入れられてどっかに売られていった

のかもしれない。彼らは決して同族だろうと容赦はしないのだ。

 カチャリ。彼女の居た居室の鍵はやはり開いたままだった。

私は素早く部屋の中へと滑り込む。彼らは基本、片付ける習慣が

薄いからもしやと思ってたらやっぱりそこは物置と化していた。

 もはや使う者すらいないお化粧道具だとかスケスケネグリジェ

とか香水の類がそのまんま。但しやっぱり金属刃物類は無い。

私よりかは多少物持ちが良かった様だけど、彼女もまた必死で

その生命を繋いでいた息遣いだけは透けて見えてくる。

 香水は・・・使わない方がいいだろう。いくら彼らが不用心

でも、彼女が普段使ってた物位は把握していない訳がない。

 つまり香水類は完全なるブービートラップ。柑橘系のモノ

だなんて絶対に置いてある訳が無い。誰がさして美味しくない

食べ物に掛ける食欲増進用フリカケなんていうシロモノをば

自ら進んで自分に振りかけたいと思うのよ。

 私が目指すのは彼女が生前使ってただろう背の高い姿見だ。

云ったでしょ?彼女が全力で媚びてたって。少ないリソースで

多大なる効果を生み出す為に彼女はとある魔法まで使ってた。

 彼女は私に言葉の意味が通じてるとは思ってなかったでしょう。

それはもう自慢げに手の内を私にだけこっそりと教えてくれたのよ。

 「錬金術」。例え自分の持つ魔力が微々たる物だっとしても。

例え術者が脳筋だらけの獣人族だったとしても。ちょっとした

生活魔法に分類出来るであろう魔法を使えるだけでしかない魔力を

持った猫属だった彼女が使える世渡り術の根底を成してたモノが

         それだった。

 ならばこそ。唯のニンゲンであるこの私にだって、それが使えない

という道理はない。だってそれに類する技術は・・・

 私が元居た世界でも同じ理屈でごくごく当たり前に使われてた存在

だったから。だから、異世界人でもある私にも、それは使える。

      後は彼女の親切心を信じるだけ。

猫なお姐さんは多分家猫系。媚びるつもりが選択肢間違えてご退場の憂き目に。

「錬金術」出すタイミング迷いましたがここならマァ・・・

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