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今度はそのまつげに触れたい  作者: 赤の他人
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1.いびつな世界

「わー、あの子かわいー!」

向こう側の歩道から女の子の高い声が聞こえた。

「あの子、カバンにぬいぐるみいれてる!かわいい!」


……それって

わたしが脳内でひとりツッコミを入れるよりも先に女の子と一緒にいた男の子が言った。

「いやおまえ、それってつまりあの子じゃなくてぬいぐるみがかわいいってことだろ?」

Oh!男の子ナイスツッコミ!!ありがとうわたしの代わりに言ってくれて。

「えー?ちっがうようー 」ごにょごにょと女の子はタコみたいな口にして不貞腐れた。


ふっ、あなたのほうがよほどかわいいわよ。そんなあたしの方がかわいいんだからよそ見しないでよあたしのばか彼氏って遠回しに言うみたいな技使えるんだから。

よくばりね、女ってのは。

横断歩道の信号が赤になったので、ちらと後ろを振り返った。先の遠回し彼女とナイスツッコミ彼氏は仲良く手を繋いで歩いていった。


あぁ、なんて歪なんだろう。わたしに男の縁がないからなのかいい思い出がないからなのか、わたしにはどういうわけか男女のカップルは歪にみえる。しあわせそうに恋人繋ぎをしているふたりの顔は、

お日様が出て、虹もでているのに 雲はどんよりしていていまにも大粒の雨を降らせそうな空模様。

そう見えてならないのだ。

とてもいびつ、それなのに美しい。なぜなんだろう。

ほんとうにわからない。

でも、あなたたちみたいなかわいいカップルに別れてほしいとかリア充爆ぜろみたいな年齢=彼氏無しかわいそうなわたしは演じたくないから言わない。だからずっとしあわせであってほしい。



そう思ったつかの間、

つい先までしあわせそうにお花のエフェクトを醸し出していた遠回し彼女とドヤ顔でナイスツッコミをしていた彼氏がいがいがした声を出して言い合いをしていた。


はぁ。

こういうため息何度目だろう。





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