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少女ロボットと博士の超危険作戦

ノリです。許してください。

「博士、本当にやるんですか?」

 大きなモニターとキーボードだけが置かれた全面真っ白の部屋で、十六歳ほどの見た目をした白衣姿の少女が言った。

 腰の前に手を交差させる、いわゆるお辞儀の格好をしている少女は、不安げな目を博士に向けた。

 腰の後ろでは長い赤髪が少し揺れ、前に交差されている手の甲には、一号という文字が青白く光っていた。


 少女の前に居る、博士と呼ばれた少年が答えた。

「ああ、これは絶対に成し遂げねばならない。例え、私の身がどうなろうと、な」

 博士と呼ばれる少年は、少女と同じく白衣を身に纏いながら、目をモニターに向けて言う。


 モニターに映し出されているのは、屈強な体を持った学生服姿の金髪の男。

 耳にピアスを付け、首にネックレスをかけている、いかにも不良と言った姿だ。

 そして、何故かモニターの端の方にハートマークが映し出されている。


「そう心配するな、一号。こんな作戦で私が死ぬわけないだろう?」

 博士が一号の方に振り返りながら言う。


「ええ、そりゃあ、死にはしないでしょうけど……」

 一号が何とも言えない顔をしながら重い口調で言う。


 二人の間に浮かぶ空気が、これから行う作戦の過酷さを物語っているようだった。


 博士が、この空気を振り払うかのように軽い口調で語りだす。

「確かに、この作戦は危険かもしれないが、同時にハッピーを生み出す作戦でもあるんだ。わかるだろう?」


 一号が怪訝そうな顔をしながら言う。

「私はロボットなので人間の感情はよく分かりません。ですが、一つ分かるのは、この作戦は一部の者しか喜ばないと言うことです」

 そして一呼吸、間を置きながら再度喋りだす。

「よって、この作戦はリスクが高すぎることに対し、リターンが少なすぎると思われます。この作戦は中止した方がよいかと……」


 一号の言うことに、博士は強く言い返した。

「確かに、お前の言うとおりこの作戦は一部の者しか得をしない。いや、それどころか俺だけしか得しないかもしれない。だが、それでもいいんだ。俺は、自分が成したいことを貫き通す!」


 博士の強い言葉に、一号は困惑の表情を浮かべた。

「え、え? いや、博士がそういう性格なのは分かりますが、はい…… それでもやはり理解に苦しみます!」

 

 一号と博士の間に沈黙が訪れた。

 博士と一号は、互いに強くにらみ合った。二人とも、自分の意思を貫き通す為に必死だった。

 一号は博士にこの作戦を中止して欲しい。しかし、博士はこの作戦を己が為に成し遂げたい。

 相反する二人の感情は、留まるところを知らなかった。


 いきなり一号がモニターの前にあるキーボードの方に歩き出す。

「博士がこの作戦を止めてくださらないのなら、私が無理やりにでも止めさせます」


 一号が狙うのは、キーボードの上に置いてある、作戦の内容を全て纏めた紙の束。

 あれを破かれれば、この作戦は完全に破綻してしまう。


 一号の狙いに気づいた博士は慌てて一号を止めようとする。

 意外にも広いこの白い部屋。一号がキーボードにたどり着くまで後二メートルはあった。


 博士は走りながら、歩いている一号の体に飛びつき、足の歩みを止めようとする。

 だが、一号の体はロボット。昔博士が弄繰り回した結果、途轍もない怪力を得てしまった、可哀想な女ロボット。

 博士の必死の抵抗を物ともせず、逆に博士を引きずりながら歩いていく。


 一号が全く止まらないことに驚いた博士は、無理やり体を起こしながらキーボードの方に走り出す。

 博士は一号より速く計画書を取る事に成功した。


 だが、一号は計画書を確保し逃げようとしている博士に姿が見えなくなるほどのスピードで走り出す。

 そのまま博士の体を掴み、計画書を奪おうとする。

 だが、博士も負けじと計画書を必死に守る。


 時々一号が地面と壁にヒビを入れ、博士がゾッとしながら行われたその奪い合いは、さながらキャットファイトのようであった。



 数分ほど行われた奪い合いは、一号が部屋の角に博士を追い詰めたことで終了した。



「さぁ、博士。その計画書を大人しく渡してください」

 渡さないなら、少し痛い目も…… と言いながら拳を握る一号。


 絶体絶命の状況の中、博士は笑った。

「私がお前の弱点を知らないとでも思ったのか?!」


 計画書の束を一号の後ろに思い切り投げる。

 一号が計画書を取ろうと振り向く。


 博士は、振り向いた一号の前の方に手を伸ばし、勢いよく()を揉みはじめた。

「フムフム、やはりこの感触はいいの。ここの感触に半年も費やした甲斐があったな」


 満足げな表情を浮かべている博士。だが、揉まれている一号の顔がどんどん変化していった。

 鉄仮面の様な顔をずっとしていた一号は、顔の色を自分の髪の色と同じぐらいに頬を赤らめ始める。

 

 一号は頬を染めたまま地面に倒れた。

 倒れた後の潰れた乳を少し突き、博士は計画書を拾う。


「では、一番の障害も居なくなったことだし、実行しようか! この作戦を!」


 大声で笑いながら博士は真っ白な部屋から出て行った。





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




 私はいつもの白い部屋で目が覚めた。

 立ち上がり、白衣に付いた汚れを払いながら気絶する前の出来事を思い出す。

 そう、博士の計画書を取り返そうとして、その後……

 

 恥ずかしくなった私は思い出すのを止めた。

 思考を落ち着かせた後、部屋をゆっくりと見回す。

 壁と地面のあらゆる所にヒビが入っている。

 これ、後で直さないと…… そんなことを考え少し憂鬱になりながらも辺りを見回すと、部屋の中心に紙が一枚落ちているのに気づく。


 近づき、拾い上げると、そこに書いてあった文字に私は呆れた。

 そして、モニターに視線を向ける。

 モニターには、金髪の不良が頬を染め少し恥ずかしそうにしながら博士をボコボコにしていた。


 全く、博士はいつもくだらないことを…… 

 そう考えながら手に持っていた紙をモニターの前にあるキーボードの上に置く。



 そうして、一号は部屋の修復に取り掛かった。



 モニターの中から博士の悲鳴が響き渡る中、一号は黙々と修復を続ける。

 そんな事態を引き起こした、キーボードの上に置かれた計画書。

 そこには、今回の作戦名が大きく書かれていた。



『ドキッ!不良にラブレター送ってギャップ萌え狙っちゃおう!』

 と……



今回も恋愛が書きたかったのに、謎の物語ができちゃったよ。

やはり恋愛未経験者には書けないのか…… いや、書ける!

ということで、これからも恋愛執筆目指して頑張ります。


改善点などあればご指摘いただけると嬉しいです。

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