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happy birthday to me

作者: SiRO

朝、目覚ましの音で目が覚める。

そして、そのまま自分の机に向かい、机の上のノートを確認する。

これは交換日記。

ただし、見目麗しい幼馴染みとの…なんて素敵なものじゃない。

自分との交換日記だ。

どうも僕には人格と言われるものが2つあるらしい。

つまり、二重人格だ。

どうももう一人の時の記憶はもう一人の方には受け継がれないようなので、これは前日のことを記しておくための交換日記だ。

いつから、なぜ、こうなったのかはもう覚えていない。

きっと、些細なことだったのだろう。

ありがたいことに、僕の家族はこの異常な状態を受け入れてくれている。

本当にありがたいことだ。

感謝してもしきれないだろう。

それはそうと、今日は金曜日だ。

今週は、僕の方が平日が多かった。

まぁ、来週は逆だから良しとしよう。

そんなことを考えながら自室のドアを開け、廊下に出ると、弟と妹の声が聞こえる。

「兄さん、誕生日おめでとう。」

「今年は当日に言えないからな。おめでとう、兄ちゃん!」

そうか、明日は僕たちの誕生日か。

「ありがとう、二人とも。毎年、二人分のプレゼントを準備するのは大変だろう。」

「そんなことはない。もう慣れたよ。」

「それに、兄ちゃんがちょっと変わった双子って考えれば、結構面白いしな。」

二人らしい答えに、ついつい口元が緩んでしまう。

「そうか。とにかく、ありがとう。」

「さっき聞いたよ。」

「返事と挨拶は一回だけでいいんだぜ!」

そういうと、二人は自分の部屋に戻っていった。

どうやら今日は自分の部屋でゆっくりするらしい。

平日なのに、大丈夫だろうか?

そんなことを考えながら階段を下ると、今度は母さんの声が聞こえる。

「おはよう。明日は誕生日ね。おめでとう。」

「ありがとう、母さん。」

「今年は、あの子の年なのね。」

「そうだね。少し寂しいような気もするけど、去年は僕の年だったんだから、しょうがないよ。」

「そんな顔しないの。きっと、いつか二人一緒に祝えるようになるわよ。」

どうやら、少し暗い顔をしてしまっていたようで、母さんが僕の頭を乱暴に撫でながら励ましてくれる。

「そうだね。ありがとう。じゃあ行ってきます。」

そう言って家を出る。

そして、その日の授業を終え、家へと帰ってくる

「ただいまー。」

「おかえり。」

「珍しく早いね。父さん。」

「あぁ。それより、明日はお前たちの誕生日だな。すまないな、毎年祝ってやれなくて。」

「いいんだよ。今年はあいつの番だから。」

「そうか。」

そうこうしているうちに晩御飯ができる。

晩御飯を食べ、風呂に入り、自分の部屋で交換日記を書こうとする。

そういえば、一度も自分に対して祝っったことなかったな。

今年はちゃんと祝ってみようか。

でも、ただ『おめでとう』では面白くない。

少しひねってみよう。

こんなことをしているから、あいつにもロマンチストなんて言われてしまうんだろう。

『happy birthdayt to me』

今日はそれだけを書いて、ノートを閉じる。

あいつは、どう返してくるだろう。




次の日、目覚ましの音で目が覚める。

いや、正確には次の次の日か。

机の上のノートを確認する。

『right back at you』

そっちこそ、か。

なんで授業は出来ないくせにこういうところだけ博識なんだろう。

まぁ、それがあいつの長所でもあるんだけど…

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