悼
「もう誰も殺したくないよ」
そう言う誰かは誰かを殺した
被害者、加害者
恨みの連鎖をこえて
僕は瞳を閉じて祈る
平和なんて陳腐な願い
世の中そんな甘くないこと知ってるし
孤独に泣いて
寂しいが溢れる世界だ
衣食住に飢えた人々がいて
愛に友情に飢えた人々がいて
病に震える人々がいて
過労死もあれば
自ら死を選ぶ人がいる
諦観と虚無感の中で希望を探す
その行動が誰かを傷つけても
それはあまりに綺麗な正義
だから、僕は涙を流して目を開く
今日が最期の日かもしれない
いつ死ぬかなんてわからないけど
つらいけど
「生きよう?」と歌う
全ての死を悼んで叫ぶ
僕はまだ人を愛していたいから
僕の心をボロボロにした
人間たちを
まだ信じていたいから
まだ許してはいないけど、いつか
だから、僕は目を開く