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最強のスケルトン  作者: あん
はじまりの遺跡編
3/8

九尾



パラパラパラ


 粉々に粉砕された扉が音を立てて崩れ去る。

 私は薄暗い部屋の中を照らしている灯篭のようなものに沿って部屋の中央へと歩を進める。

 思ったよりも広い部屋だ。

 今まで遺跡の中でこのように開けた空間は見たことがない。

 

 歩を進めるに連れて部屋の中央にいるものの私に対する眼光が鋭くなる。

 近づきながら私はその魔物の解析をしてみた。



 イヅナ[九尾](Lv277)

 HP:43450/43450

 MP:174000/174000

 攻撃力:9980

 魔法攻撃力:187780

 防御力:11000

 魔法防御力:143200

 速度:12000

 精神力:299980


 装備 なし


 スキル

 「妖狐Lv7」「炎魔法Lv5」「水魔法Lv5」「雷魔法Lv5」「風魔法Lv5」「氷魔法Lv5」「光魔法Lv5」「闇魔法Lv5」「爆撃魔法Lv3」「影魔法Lv3」「威圧Lv5」「魅了Lv7」「麻痺耐性Lv3」「睡眠耐性Lv2」「石化耐性Lv3」「毒耐性Lv4」「魅了無効」「炎熱耐性Lv3」「氷結耐性Lv3」



 「なんと」



 そこには9つの尾を持つ巨大な狐が座していた。

 体長は30メートルはゆうに超えているだろう。

 その体は黄金色に近く輝いている。

 それに、今までに見たことがないほど高いステータスだ。

 もちろん自分を除いてだが。 

 これはおそらくボスというものなのだろう。

 相手は私が目の前まで近づいても動こうとしない。

 強者の余裕なのか、それともまだ封印が解けていないのか。


 私がそんなことを考えていると、九尾はゆっくりと立ち上がり、鋭く鳴いた。


 「クルルルルルルル」



 九尾のいななきと同時に九つある尾に光が集まっていく。

 光はやがて直径が5メートルほどの玉へと変わり、それぞれが別々の色を灯した。

 

 なるほど。

 尾の一本一本がそれぞれ別の魔法を使えるというわけか。

 先ほど解析した魔法がちょうど9つあることと玉の色からどれがどの属性の魔法なのかは予測がつく。

 

 私がそんなことを考えていると九尾は魔法でできたボールを飛ばしてきた。

 狙いはよし。

 速度も私でなければまず避けられるものはそうそういないだろう。

 私にとっては魔法球の接近がスローモーションのごとく遅く見える。

 避けることなど造作もない。

 だが、しかし、私は受けよう。

 今まで出会うことのなかった強者。

 私からしてみればそれほどでもないにしろ、他の者からしてみれば強者であることは間違いない。

 私は九尾に向かってゆっくりと歩を進める。

 まるでまっすぐ向かってくる魔法球に気づいていないのかとも思えるようなゆったりとした動作で。

 そしてその直後、



 ズドドドドドドドーン



 私に直撃した魔法球が大きな音とともに周囲の地面をえぐる。

 あまりの威力に塵へと変わった地面を構成していたものが巻き上がり、周囲の視界を閉ざした。

 私はその中を変わらぬ速度で歩く。

 まっすぐ九尾に向かって。



 私が砂煙から姿を現すと、敵を殲滅したと思い込んだ九尾は再び座り込んでいた。

 私はそんな狐の前に歩み出ると、



 「その程度か。とても残念だ」



 そうつぶやきながら足を上げ、かかとから振り下ろした。

 

 何かが爆発したのかとでも思えるほどの爆音が鳴り響き、私のかかと落としを鼻に受けた九尾は顔面を地面にのめり込ませていた。



 「なんだ、本当にもう終いなのか。案外もろいものだな」



 私が九尾に近づき、とどめの掌底を放とうと構えた瞬間、九尾の体が淡い光に包まれた。

 なにかの攻撃かと一瞬身構えたがどうやらそうではないらしい。

 九尾の体が光となって消えていっているのだ。

 すでに半透明になっている。


 おかしいな。まだHPは残っているはずだが。


 そう思い、解析の魔眼を発動させようとして私は動きを止めた。

 止めたというよりも止まったといったほうがいいのだろうか。

 

 九尾の体が完全に消え去った後には、狐色の髪をした少女が、全裸で顔面を地面にのめり込ませながら倒れていた。




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