魔法
それからというもの私は魔物狩りに精を出した。
なんといってもやはり実践を積むのが一番早く強くなれると思ったからだ。
最初に倒したオーガを始めとして、角を持つ小型ウサギの魔物ボーンラビット、醜い顔をした人間の子供台の大きさのゴブリンたち、全長が20メートルはあろう硬い鱗を持った蛇の魔物キラースネークなど、私は見つけた魔物を片っ端から討ち取った。
ちなみに魔物の名前やステータスは見ようという意識を持って相手を見ることで表示された。
これは普通のことなのか私だからできることなのかは分からないが、もし私が特別なのだとしたらこれは何らかの能力なのだろう。
そして私はある日ふと思った。
自分のステータスを確認することはできないのかと。
試しに念じてみると案の定表示された。
初めて見る自分のステータス、そこにはこう書かれていた。
オーバー・スカル・エンペラー(Lv128)
HP:25400/25400
MP:895600/895600
攻撃力:4310
魔法攻撃力:980000
防御力:3910
魔法防御力:887020
速度:124500
精神力:776320
装備 なし
スキル
「超越者Lv1」「魔道士Lv1」「モンクLv5」「炎魔法Lv1」「水魔法Lv1」「雷魔法Lv1」「風魔法Lv1」「氷魔法Lv1」「闇魔法Lv1」「麻痺無効」「睡眠無効」「石化無効」「毒無効」「魅了無効」「混乱無効」「呪い無効」「腐蝕無効」「炎熱耐性Lv1」「解析の魔眼」
いろいろと言いたいことはあるだろう。
うん。
ひとつひとつ整理していこう。
まず、自分のステータスを見ることはできた。
おそらくスキルの欄にある「解析の魔眼」の効果なのだろう。
これでこの能力の解明もできた。
おそらく魔眼というほどのものなのだから誰もが使えるわけではないだろうと私は考えた。
次に、私のステータスについてだ。
数字がおかしいのはとりあえずおいておくとして、どうやら私の本職は魔術師だったようだ。
いや、スキルに「魔道士」とあるのだからそう呼んだほうがいいのだろうか。
どちらにせよ今まで拳ひとつで生き抜いてきた自分にとっては少なからずショックなことだった。
それからというもの私は落ち込む気を奮い立たせ、更なる高みへ昇るため、魔法の鍛錬を始めた。
鍛錬といってもやることは簡単だ。
使いたい魔法を念じるだけで発動できたため、それを虚空へと向かって放つ。
その繰り返しである。
たまにそれが魔物に偶然当たったりすることもあった。
ちなみに自分が行使できる魔法はなんとなく分かった。
また、無詠唱で魔法が発動できるのも「魔道士」のスキルのおかげのようだった。
MPがなかなか尽きることはなく、ずっと魔法を放てたため、私の魔法系のスキルは着々とレベルアップしていった。
千や万では数え切れないほどの魔物を葬り、気が遠くなるほどの時間がたった今、私のステータスはこのようになっていた。
オーバー・スカル・エンペラー(Lv500)
HP:100430/100430
MP:5673300/5673300
攻撃力:22400
魔法攻撃力:7648800
防御力:22100
魔法防御力:2760400
速度:985050
精神力:1522210
装備 なし
スキル
「超越者Lv2」「魔道士Lv8」「モンクLv☆」「炎魔法Lv8」「水魔法Lv8」「雷魔法Lv☆」「風魔法Lv☆」「氷魔法Lv☆」「闇魔法Lv☆」「重力魔法Lv5」「時空魔法Lv3」「空間魔法Lv7」「麻痺無効」「睡眠無効」「石化無効」「毒無効」「魅了無効」「混乱無効」「呪い無効」「炎熱無効」「氷結無効」「移動阻害無効」「腐蝕無効」「解析の魔眼」
あれからずいぶんと時が経ったものだ。
所持スキルも最初と比べてずいぶん見栄えがよくなった気がする。
新しく増えた時空魔法で時を止めることも可能になり、また空間魔法でアイテムを亜空間へと収納できるようになった。
あまり使うことのない水魔法とどうやら自分と相性が悪かった炎魔法以外の攻撃魔法スキルはカンストしている。
準備は万端だ。
何の準備かって?
その答えは今目の前にある。
いや、いるといった方が正しいのか。
荘厳な雰囲気を醸し出している重厚な扉の向こうから発せられるプレッシャー。
並みのものでは正気を保っているのも難しいだろう。
精神力が弱いものならばその圧だけで死んでしまうかもしれない。
私にそこまで感じさせる魔物がまだいるのだ。
偶然上級炎魔法“ランドフレイム”で遺跡一帯を焼き払っていたときに壁が崩れて出現した通路。
その先にこの扉はあった。
今まで生きて?きてこの遺跡に出口のようなものが見つけられなかったことからこの先に出口がある可能性が高い。
扉に幾重ものお札のようなものが貼ってあることから何かが中に封印されていることは明白だ。
「久々に楽しめそうだ。せいぜい私を満足させてくれよ」
そう私はひとり扉に向かって呟きながら構え、
ズドーン!!
お札ごと扉を掌底で吹き飛ばした。