表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぺんだんと part1  作者: Erin
2/4

別れ話


「ちゃんと成績上げなさいよ!」


「はいはい、わかってるって。行ってきまーす!」


 今日から三日間、中学校初めての期末テストが始まる。このテストが終われば、短縮授業。


早めに帰れるし、夏休みが近づいてくる。やっといじめから解放されると思うと、うれしくなってきた。


「はじめてください」


珍しく、今日は誰も私に手を出してない。テストだからそういうことしてる場合じゃないしね。


(余裕余裕~)


すらすらと問題が解けた。このとき、ちゃんと勉強しててよかったって思う。


まあでも、スマホがほしかっただけだったのかもしれないけど。





三日後


「……はい。えんぴつを置いてくださーい」


「やった~! おわった~!」


期末テストからやっと解放された。あいかわらず、みんなはまだ私に冷たい。




家の玄関の前、久しぶりに拓斗とあった。


「ひ、久しぶり」


「おお……」


「は、話が、あるの」


あたしは拓斗を家に入らせ、別れ話を切り出すことにした。


「あのさ、由梨って知ってる?」


「ああ、うん。それでさ」


「なに?」


次は拓斗が話し始めた。しかも私の話を聞こうとせず。


「俺たち、家が近いって言っても、めったに会うことないし学校も違うし、だから……その……別れよう」


私が別れ話を切り出そうとしたのに、結局先に言われるのか。よくわからない悔しい気持ちが湧き上がってキツ気味に言ってやった。


「私も別れるつもりだったから別にいいんだけど、理由は違うでしょ」


「えっ」


拓斗がビクッと体を揺らす。やっぱりね。


「好きなんでしょ、由梨のこと。私が由梨の名前だした瞬間顔赤くなったし、私の話はまだ終わってないのにそれを遮ったから、なんとなく分かっちゃった」


これを女の勘って言うのかな、なんつって。


でも、明らかに図星だということはわかった。自分の顔を手で覆って照れているから。


なんだろう、逆に応援したくなってきた。



「じゃあ、これからはただの幼馴染ってことで」


拓斗の前に手を出した。


「ああ」


拓斗も手を出し、お互いに握手をした。



拓斗と別れ、自分の部屋の明かりをつけた。

ごろんとベッドに寝転がり、今の自分の気持ちを確認した。


拓斗と別れてから、水で綺麗に洗い流したようにスッキリした気持ちになった。


重い荷物が取れたような……。





次の日、朝起きたら目が少し腫れていた。


朝ごはんを食べに下に降りるとお母さんが朝ごはんの仕度をしていた。


「あら、目がちょっと腫れてない? きのう泣いたの?」


「え、泣いてないはず……」


でも起きたとき枕が濡れてたような……。


もしかしたら心の奥底では悲しんでたのかな。


「それより早く食べなさい、あと三分で遅刻するわよ」


「嘘でしょ !? 行ってきます!」


あたしは大慌てで家を飛び出した。


この後、あんな人にぶつかることなんて知らずにーー。


次回は由梨と拓斗の番外編を書こうと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ