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紅ヰ拳の執事様。  作者: 昕篠
その拳、異世界に届く。
5/12

五発目:そのNINJA、結界に同調す。

忍者は最強でなければならない

 中庭に降り立った丹。

 その姿は他の兵士に見られてはいなかったらしいが、戦闘音に気付き、集まった兵士が少数。


 だがその兵士たちが集まった時にはも追うすでに、その赤い目をした悪魔の姿はなかったのである。




「……どうしたもんかねえ」


 ぼうっと。 目立たない、最も外にある壁際に生える木の裏に隠れた丹は、脱出に手詰まりしていた。

 それは――――



「こんのぶにっとした謎の感覚――魔術っぽいんだよなぁ」


 目の前につつくと確かに感覚がある、空気の壁。

 それはぷにぷにとゴム状の幕が貼ってあるような感じで、丹の本能は、それを全身で突き破ったら確実にまずいものだと告げていた。



 丹自身のゲームだったころのそれの感覚によると、魔術は、ふわっとしたやわらかいものがごっちゃりとまとまって飛んでくる、といった感覚だったのだが。

 この謎のゴムの様な壁から感じられるそれは、感じる感覚は整えられてこそいるがふわっとしたやわらかいものが何層も結われたような感じがする。



 丹が使うその火炎は、どちらかというと気といったものに近い。

 体の力――少し変質しているだけで、それも魔力なのだが。 ――を集めて、火炎という形を取りつつ、常時すり減らしていくことにより1発1発の大ダメージへと昇華させるのだ。




 少し考えた後、丹はぺたり、とその壁に対して手のひらをつけ、少し押して密着させる。

 これからやることは、いつも通りやることと同じである。




 ただ少し違うのは。 ――力を込めるのが、手ではなくこの膜だということだ。



「―――ふっ」


 小さく息を吐き出して貼り付けた両手に力を込める。

 そしてそこから経由して、目の前にある膜に染み込むように。


 じわりと、水彩絵の具のような薄い、染み。

 刹那、その広がりゆく染みはするりと正円へと姿を変える。


 その正円は太くなり、複雑化し、点ができ、文字に変化し。


 送り込まれる力は徐々に太さと濃さが増していき――発光する。




「――ッふう」


 発光し、変形拡大縮小を繰り返し。

 手のひらに戻り、手の甲に丸い模様が浮かんだその瞬間、手にかかっていた抵抗が消えた。

 前に倒れそうになる丹は、なんとかという体制でその扉から体勢を立て直す。


 ――なに、やったことは至極単純である。 この膜の魔法――結界であろうか。

 それの例外対象に、赤いという存在を書き加えただけである。


 膨大な魔力の前には、どのような力も屈す。

 そして丹はその気界によってふさがれていた道を通り抜けようとした瞬間。

 先ほどまで感じていた感覚を知ることもなく。


 その丹は、脱出を再開したのであった。

NEXT⇒6発目。 朝6時頃時に更新予定です。よろしくお願いします。

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