表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅ヰ拳の執事様。  作者: 昕篠
その拳、異世界に届く。
3/12

三発目:そのNINJA、深夜に出現す。

早くクズっぷりを発揮させたい……(?

「おはようございます……」



 ぼそり、と小声で起きた丹。うでは青あざになって動かすと多少痛みはあるものの、あの嫌な音がして折れたと確信した腕は、折れていなかった。

 打ち付けた瞬間のあの痛みは気のせい、であったのだろうか。


「まあ……動かせるのはいいんだけど。」


 非常に痛む腕を気を付けながら、よろよろとしながらも立ち上がり、最初に居た硬いベットのようなところに戻る。


 夢であればな――などと思いながら、ふと、その存在を思い出す。


「ウィンドウは開くんかね……」


 手をひらき、そっと空中を撫でるように右にスライド。 それが彼がやっていたゲームの中での、ウィンドウやログアウトなどのシステムを開くための操作であった。

 すると、その先には――――



「あー…ちょっと、まって」


 現れたのは、数枚の半透明なウィンドウ。

 白を薄くしたようなそのウィンドウは、ゲームの頃であったそれとは、違っていた。



「ステータス……装備とスキルは良いとして……」


 大幅に改変されていたそのウィンドウ。

 いたるところに不明な点は有ったものの、ほとんどが予想の範囲内だった。


「まあログアウトとかは今更になってねえよな……あの痛みの後だしなあ」


 案の定無かったオプションとログアウトの項目に、心の底からがっかりする丹。


 ウィンドウを見つつ、装備を見ていく。


「やってた頃の対人用装備と変わらないん、だけど――」


 装備のアイコンの上につこう度目の様な、正円に線が斜めに引いてあるそのアイコン。

 意識を集中させると、詳細が細かく表示された。


 その装備を変更すると、インベントリーに仕舞われ、取り戻すまで移動、譲渡、廃棄などはできないという事。


「今までの装備……壁の上で座ってた頃の装備はどこ行ったんだろうな」


 あからさま対人を意識したその装備たち。 昨日戦っていた弓使いだったアレに対抗して変えた装備は、機動性を重視しつつ体力(HP)を回復し、スキルを使うための魔力(MP)を回復するという点を重点において作った物たちだった。


「とりあえず――装備変えっか……」


 なぜ昨日叩かれたりする前に思い付かなかったんだろう、と自己嫌悪しつつ。

 次々と装備を換装していく丹。


 あのサイリウムみたいに光る木の棒は、魔法抵抗とかでどうにかなるだろ、という安直な考えで、魔法を使う職に合わせた魔法抵抗を高める装備を。

 自慢であったガントレットや、投擲用としてのナイフなど、 予備がないそれを探すことを真っ先に考えて――



「――こんなもんか」


 忍者の様な半分黒尽くめで装着された装備は、さっさとアイコンを入れ変えるだけで換装できた。

 手に装着されたそれは、グローブというよりガントレットのようにごってりとしており、打点と指先に爪が。 手の甲や関節に合わせて装甲が貼られていた。


 ガチン。と一つ拳を撃ち鳴らす。


 どうみても昨日のは装備不足と混乱が生み出したものだったことは明白だった。

 ちょいちょい音を鳴らしても人が来ないことを考えると、今は深夜なのだろう。  警備員も舟をこいでるに違いない。


 ――――という事で、無双開始である。








 王城。それは、国を代表する王というものが居住する家である。

 国の代表ということはそれなりの警備もあり、兵士の詰め所では無いが、敵国の諜報などを収容するための牢屋などもある。

 流石の城、という事で、金が使われていて――その分、堅牢であり、丈夫である。



 ――――その一角で、崩壊が起きるレベルの、巨大な爆発が起きた。







「ひゃっはああわっはっはっはああああ!!!」


 最高に高笑いを上げる丹――むしろNINJA。


 周りの衛兵はさながらアイエエと叫んでいるに違いない――なんといっても、彼は今、ほぼ黒尽くめだ。


 頭から足の先に至るまで黒い、その人影。

 瞬動を乱用し、ゲームの世界で限界まで引き上げたその体のスペックを余すことなく使いあげる。


 ――――なお、取られた装備については隣の部屋に衛兵が居て、さらに金庫があり、そこに一緒に保管されていたのだが――


 かれは衛兵を戸惑うことなく気絶させ、同じく真っ裸かつ手足を縛りあげた後に隣の部屋に放り出したのちに鍵をかけて絶賛放置中である。


 ひっつかむように元の装備を取り返した丹。 現在の装備より上位互換がいくつかあるためすべて装着し直した後、その巨大なガントレットと呼ぶ激腕で――


 壁に向かって、足腰を正し。


 正拳突きの容量で、手に力を籠め――――

 ドガァンと、最高に大きな爆発、さらに壁の崩壊を招いたのである。



 

 ――彼は混乱の中、ちゃんと聞いていたのだ。現在位置が塔で隔離され、尚且つ、魔法――スキルが使える状態であるという事を。

 情報収集と思いつつ、ただ煽っていただけではない。言葉が通じるのは王とやらが魔法を掛けてくれたということらしいが――まあ、それは今更どうでもいい情報だった。


 足元に覗くその街は、壁にいたころより小さく。



 その塔のすぐ傍に屋根があったのを、視認した彼は――

 瞬動を使い、その場から離れたのであった。

 

NEXT:四発目。

所用にて明日、朝の6時ごろ投稿予定です。


誤字指摘有れば教えてくれると幸いです。


ポイント、貰えれば励みになります。

良ければ宜しくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ