アスタルテの語るには
やあ、こんなところまで足を運ぶとはきみたちも大概なものだ。
業が深いというべきか――いや、それは先ほど世界線を飛び越えて締めあげてきた"作者"を名乗る不届き者に限った話か。
きみらは読者、つまりは我々の世界とは一つ位階の違う世界から僕を物語上の存在として見ている人間たち。そんなきみたちがここに来ることになったのは、僕が見ている運命の糸があの鬼神によって交錯してしまっているからだろう。
ここは、世界と世界の間――というと三次元的に少々理解が及ばないかな?
簡単に言えば、どんな世界にも繋がれる小さな空間さ。
とはいえ、きみたちは僕のように現人神であるわけでも、命にストックがあるわけでもない。ゆえに、ここから出たらたった一つの世界にしかたどり着けないだろう。
つまり、これより紡がれる歴史において、きみたちが選べる歴史は一つだ。
狭間の章。本来であれば語るべくもない、史実の間隙。これがあるから史家は様々な仮説を提唱し、そのどれもが証拠を名乗る物品をあげつらって自らの真実を証明しようとする。
寂しい話だ。
人の数だけ、歴史はあるというのに。
ゆえに、これよりきみたちの歴史を定めると良い。
次の大きな歴史点までに少しあぶれたこの空隙を、自らの赴くままに埋めると良い。
そうしたらそろそろ、僕は政務があるからこれで失礼するよ。
本来であればきみたちも帝国臣民として迎え入れる準備をするべきところだが、存外、彼岸と此岸を隔てる境界は厳しい。世界を渡るのはそうそう出来たものではないだろうから。
ふむ、縁があったら会おう。帝国名物を幾つか見繕ってもてなすことを約束するよ。
それではね。
《System Message》
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それぞれ異なる世界線の出来事です。
分岐した未来が変化をもたらすのは、幕引きを終えた大団円。
それまでしばしのお別れを。