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グリモワール×リバース~転生鬼神浪漫譚~  作者: 藍藤 唯
巻之捌『叛逆 神蝕 片眼鏡』
229/267

エピローグ 本拠フェイズ 『晴れやかな午後から』




 ――鎮めの樹海南部。


 ゲートを開き、レックルスとミランダの二人はある集団を追いかけていた。


「待ちやがれ、ルノアール!!」

「んっんー! 待てと言われて待つバカはいないー!」

「てめえら、サリエルゲートの技法をどこで!!」

「簡単なことだ。お前の父親が払暁の団の一員だからだ」

「やっぱりそうかよッ……!!」


 次々とゲートを開いて逃走する相手を、座標を辿って最も近い場所へと転移する。


 レックルスはそうやってゲートを連発して追いかけていたが、敵もさるもの。

 まるで多くのサーバーを介するハッカーのように転移を重ね、レックルスの表情に疲労が浮かぶ。


「では、また会う日まで」

「ルノアアアアアアアアアアアアアル!!」



「んっんー! サンプルは取れた! この豪鬼ならば神に至れる……!! さあ、行こう我らが同志! 魔族も人間も排した世界のために! 払暁の団! 魔界復活の時間だ!!」



 高笑いするルノアールの声が、鳴り響いた。












 ――鎮めの樹海内部。戦場だった場所。



 ようやく戦いが終わり、デジレ、ジュスタ、テツのぽつぽつとした会話も進む中。


 足止めを受けていたメンバーもぞろぞろ戻って来て、シャノアールは笑顔でシュテンと会話を始めていた。


「というわけで、払暁の団はおそらく魔界の魔王派と繋がっているよ。正直、こうなるのは予想できたこととはいえ……なんというか、止めなければいけないねえ」

「ちょっと待て。俺は魔王が弱体化してるのは魔界地下帝国の維持に力を使ってるからって聞いてたんだが」

「ブラフだよ。そのあたり、いちどきちんと話す必要があるね。そろそろ――」


 と、その時だった。


 蝙蝠がばさばさと大量に飛んできたかと思えば、シャノアールの前に人型を構築し。


 そのシルエットは、シュテンもよく知る少女のものへとなっていく。


 蝙蝠たちが居なくなったあとには、見慣れた黒いゴシックロリータに身を包んだ、金髪の少女が寝ぼけ眼で立っていた。


「今ようやっと調べ終わりましたー。やー、案の定魔王は真っ黒ですねー。現在、その力を"地下帝国の制御"に使ってるとかなんとか言ってましたがー、おじいさまの睨んだ通り、その力を持って"葬魂幻影"を使用し、かつての魔界の強さを復活させるつもりですー」

「ってことは、やるつもりかい、彼は」

「ええ、邪神降臨。それにルノアール率いる払暁の団が絡んでいると見て間違いないですー」

「ふむ。見事に欺かれたわけだ。元々ルノアールは人間側と見せかけて、最初から魔王と手を組んでいた。そして、最終的に彼らの目的は同じもの……」

「そゆことですねー。ところでここどこっすか。おじいさまの座標にオートでやってきたんです、が……」


 そこで、ようやく隣で盆踊りをしている妖鬼に気づいたらしかった。


「……あ、ども。……えっと、前回は色々ご迷惑おかけしましたー」

「ガンスルー!? いや迷惑なんて思っちゃいねえよ。シャノアールんとこで調べものしてるたあ思ってたしな。久しぶり」

「はい、お久しぶりですー」


 ヴェローチェ・ヴィエ・アトモスフィア。

 相も変わらず金髪のツインドリルは絶好調でくるっくる回っているが、どことなく少々元気がない。


 共和国(第六章)でルノアールと遭遇した時に意識を失って以来の再会だ。

 旧交を温めるのも悪くないとは思っているのだが……それ以上にシャノアールの話が不穏だった。


 ふむ。


「さてシュテンくん。ここには光の神子も居て、話しやすいと思うから今のうちに言っておくけれども。協力して貰いたいことがある」

「バカ野郎お前、頼み事なんて水くせえマネしてんじゃねえよ。幾らでも受けてやらぁ」

「相変わらずだね、キミもね!」


 ぐっ、とサムズアップするシャノアールに応えるように親指を突き出して。


「で、頼み事って何よ」

「難しい話じゃあないさ。この戦い、もはや最後の相手は魔王だ。それも、全盛期の。アイゼンハルト、ランドルフ、アレイアを纏めて相手取ったあの魔王だ。そして、知っているかもしれないが――」

「とどめはクレインくんしか刺せない」

「その通りだね。だからこそ、きみや他のメンバーの助けがいる」

「はっ、面白ぇ。これだけ話をかき回しても、最後の敵は"魔王"。最高じゃねえか上等だよ、これが浪漫じゃなくてなんだってんだ」


 いいぜ、やろうシャノアール。


 拳を突き合わせる二人を、ヴェローチェは「仲良しですねーこの人たちー」とジト目で見ていた。


「ルノアールの動向が分からない以上、ここからは一緒に行動したい。その話をね、みんなにしてほしいんだ」

「にゃるほど、おっけー分かった」


 そういうことなら、是非もない。


 ちょうどそこへ、先ほどまで居なかったメンバーもぞろぞろ戻ってきていることだ。


 順番に、色々話をしていこう。



「さて、と」



 軽く屈伸して、シュテンは考える。

 





「誰に話しかけようかな」









はいってことでこちら、グリモワール・リバース第八章『叛逆 神蝕 片眼鏡』終了でございますお疲れさまでしたー!!


纏めて書くのが正解ですねやっぱりほんと。

今回はあれです、群像劇がやりたかった。とはいっても群像劇ってやっぱりキャラに愛着とかないときついじゃないですか。だから八章なんていう終盤に回したわけですけれども……今2017年の年の瀬とかマジかよ。本当にみなさまご迷惑をおかけしました。


2017/12/24 藍藤♂

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― 新着の感想 ―
[一言] これエンディングの分岐だ間違いない!
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