1ー5 街
少し書き方を変えます。
今までは才能<スキル>と書いていましたが、一度才能<スキル>と書いてからは今後スキル、とだけにします。
そっちのほうが読みやすいと思いまして・・・。
初めて出てくるスキルのみ、漢字もつけて書きますんで、今後ともよろしくおねがいします。
武器。それは人間が手に取った道具の一つだ。
最初の武器は非常に簡単に作ることが出来た。なんせ叩いて砕いて、手頃な奴を武器としたからである。これが後に打製石器と呼ばれるようになるのだ。
それがある日、「磨く」という行為によって、その武器は「切断」を可能としたのだ。これが磨製石器となった。
人類はそこから弓矢などの狩猟を目的とした武器を次々と発明した。そしてそれは争いを呼んでしまった。
話は少し変わるが、大陸において気候や土の質、育つ作物の種類、量、質が変わる。そして誰もが欲するのだ。肥沃な土地を。膨大な食料を。子孫を生かすための大地を。
ここで一つの革命が起こる。金属の登場である。金属は元来あった磨製石器を遥かにしのぐ硬度。切れ味を持っていた。そして金属を武器とする事が広がったのだ。主にそれは「銅」であった。
そして再び新たなものが出てくる。金属でも当時は非常に優秀な武器となる金属。「青銅」である。純粋な銅ではなく銅の中にスズを混ぜる事によって、銅以上の硬度を手に入れた。
このようにして、打製石器から磨製石器へと移り、青銅器へと変わった。だが、青銅をもしのぐ金属が現れる。「鉄」である。
青銅の盾は鉄の剣で破壊され、青銅の剣は鉄の盾で簡単に弾き飛ばされた。こうして青銅は幕を下ろしたのだ。
だがいつの時代においてもこれらの武器は簡単に人を殺すことが出来てしまう。それほど人間は脆く、弱いのだ。だから武器を持ってして弱さを埋めるのだ。
こんな説明でバカかと思われてしまうかもしれないが、俺が言いたい事はつまり・・・・・
「う~ん、どの武器にするべきか・・・」
「なぁ、リーク。お前迷いすぐじゃねーか?」
どの武器が一番良いか、ということだ。
クーガから金をもらった俺は、とりあえず今後のスケジュールを考えた。
まず移動の時間。クーガの話によると街は相当遠く、馬で半日かかってしまうと言うのだ。なので出発は朝。この砦か要塞かよく分かっていない山賊団のアジトで朝食を食べてからだ。
半日かけて街についた後は、とりあえず宿を探す。宿をとらないと野宿になってしまうが、これにはメリットとデメリットがある。
メリットとしては宿代が減らせること。これは良質な武器を手に入れる事が出来ることに直結する。だがデメリットがあることを忘れてはいけない。
デメリットはもし盗賊や追い剥ぎにあった場合、馬や金。最悪命も取られかねない。そんな危険な賭けはしない主義だ。よって宿に泊まることは確定だ。
これによって俺の武器は少し安物になるが、死ぬよりかはマシだ。
「まぁ、こんな感じで計画してあるから、頭の中に入れといてくれ」
「お前、見かけによらずこんな計画立てるんだな・・・・・」
こいつは本当に酷いことを言う。確かに俺は図体でかいし色々怖がられるがそんな怖くないんだ。優しい巨人なんだよ。
まあ、なんやかんやで朝になって、馬に乗って街に向かい、途中ケントの自慢話や山賊団の仲間の事を話して貰った。
なんでも俺が半ば強制的に入った山賊団。正式名称クーガ山賊団は、主に村とかは襲わないそうだ。しかし村に顔を出した時は食糧を色々ねだるそうだ。代わりに農作業や伐採。その他色々手伝うのだそうだ。
だがこいつらは自分達のアジトの近くを通る商人や貴族を必ず襲う。そして金品財産全て奪ったうえで殺すのだ。だから上級階級の人々からは凄く嫌われている。これは自業自得としか言い様がない。
だから武器も手に入るし、馬も手に入る。村でまかないきれなかった食料も奪った金で埋め合わせをするのだ。それだけ金は価値を持っている。少なからず金さえあれば大抵の事は出来てしまうのだ。
そしてスキル。説明したように、世界の三割程度の生物しか持っていない。それに、一定の条件を満たさなければならないという意味不明な制限を受けている物を身に宿している俺は、彼らにとっては重要な「戦力」なのだ。
条件さえ満たせば絶大な力を及ぼすスキル。それを持っているかいないかで戦況は大きく変わるとは、俺も思った。
クーガもスキルを持っている。名前は「腕力強化」<アームブースト>。文字通り腕力を飛躍的に向上させるものだ。
俺の持っているスキルも、クーガのようなものなのだろうか・・・・・。
俺たちが半日かけてやってきた街はそこそこの大きさのものだ。中心の大通りに店がズラリと並んでいる。それを取り囲むようにして家々が建てられていて、この世界にやってきて初めてファンタジーな街を目にした。
感想はそれだけ。ただファンタジーに来たんだな~。それだけだ。まあ、来てしまったからには思い出を残したいとは思う。将来的にはこの大陸を旅して回って、気に入った所に住みたいと考えている。あと嫁さんが欲しい。子供欲しい。
そんな欲望を考えながら街につくと、俺達はすぐさま宿を探した。野宿なんていやだからな。
運良く宿は見つかった。三十分くらいかかったが、見つかって良かったと心底思う。これは本気だ。マジだ。
ここで金の説明をしよう。まず銅貨、銀貨、金貨。この三つが主な金。そして一番上にあるのが白金貨。価値でいうと、銅貨が一枚で百円くらい。銀貨は一枚千円。金貨が一万円だ。そして白金貨。こいつは百万だ。以上。
ちなみにここの宿泊費は一人銅貨五枚だ。なので二人で銀貨一枚である。これは安い!と思ったら食事はないそうだ。まあ一日食わずとも死にはしないので我慢した。ケントは文句を言っていたが無視した。すべては武器のためだ。許せケント。
さて、残金を確認しよう。渡されたのは金貨三枚である。つまり三万円だ。ここから千円引くので二万九千円だ。どっかのゲーム機を買ったら全部吹き飛んでしまう・・・・・。
案内された部屋で寝て、起きて、ケントに案内されて武器屋につく。中央の大通りにあったのですぐ見つかった。
中に入ると、様々な武器が壁の至るところに掛けられていたり、傘立てみたいなところに突っ込んであってビビった。部屋が明るい分少し埃が目だったが、まあ老舗なんだろうと考えることにした。
「すいませーん。武器買いにきたんですけど~・・・」
俺が大きめな声で言っても反応がない。いないのか?と思ったら店の奥からヌッと大男が出てきた。白い髭にバンダナ。厳つい顔。あきらかに店長である。
「・・・・・いくらある?」
「ええっと、金貨二枚と銀貨九枚ですけど・・・・・・」
やばい、怖い。すげーオーラが出てる。先輩より怖い人初めて見たよ俺。ビビッて敬語で話しちゃった。
「・・・・・待ってろ」
大男はそういうとノソノソと何処かへ行った。なんだ?オススメでも教えてくれるのかね?じゃあ一番いいのを頼むって言いたかったな。
そしてガチャガチャと音をたてながら武器を持ってきた。それも何種類もだ。もしかして俺を見て俺に合ってる武器を選んできてくれたのか?
「これ。金貨二枚。リーチが長い。切れ味もある」
男がそう言って見せてきたのは剣だった。両刃の直剣。鍔は金色。これがよく異世界で見かける剣か。俺としてはもっと別のやつがいいな。
「・・・・・じゃあこれ。金貨二枚と銀貨五枚。結構重い。今なら手袋もついてる」
俺の気持ちを察したのか、男は次に大剣を見せてきた。これが俗に言うバスターソードってやつだろう。片刃であり、刀身の幅が広い。物を叩き斬るのには最適だが、ここで冷静に考えてみよう。
確かに大剣はいい。威力もリーチも申し分ない。だが欠点がある。その重量だ。そんな重いのを旅に持っていくのはキツイだろう。これを持って歩き、疲れて休んでいる所を盗賊に襲われたらひとたまりもない。
こうして、武器を選び続け、現在にいたる。
「なあリーク。早くしねぇと帰りが夜になっちまうぜ」
うるさいケント。俺にプレッシャーをかけるな。俺はそういうプレッシャー嫌いなんだよ。
俺は持ってきて貰った武器を漁っていると、ある剣が視界に入った。そして気づいた。異世界で生きるならこれだ、と。
「おっさん、この剣って二本ある?」
男は俺が手に取った剣を見ると黙って店の奥に入っていった。するとケントが後ろから俺の持っている剣をマジマジと見て口を開いた。
「リーク。お前体でかいのになんでこれなんだ?」
こいつが言っている事も分かる。基本でかい奴はでかい武器を使う。自身の体格を生かした武器を持つのが一般的だとも思う。
だが俺が手にしたのは、クーガが持っていた剣と似ているものだ。刃が片方にしかない、緩やかなカーブを描いた曲剣だ。刀身も広い。名前はカトラスとか、ファルシオンとか言われているものだ。どっちかは知らない。
そしてこれには護拳と呼ばれるものが着いているのだ。鍔から柄に向かってついたこれがあれば、一撃くらい当たっても防げるだろうと考えたからだ。なんせ手が切り落とされたら逃げるしかない。それに切り落とされたくない。
そうこうしている内に男が剣をもう一本持ってきた。よし、これで完璧だ。俺はきっと生き残れるだろう。
「二本で金貨三枚」
「・・・・・すいませんどうか、どうか譲ってください」
「・・・・・金貨三枚」
「頼む!お願いします!どうか!この通り!!」
とか言って土下座するわけでもなく頭を下げる俺。情けないとは思わない。生きるため、そして値引きしてもらうため頭を下げるのだ。頭下げて千円分値引きとかすごいだろ。もう頭下げますよ俺。
「・・・・・今後とも武器はここで」
「あざーーっす!!」
今後ともここで武器を買うことを約束して、俺はこの剣を二本手に入れた。最初は一本で戦って、スキルの内容に応じて二刀流に出来るか判断しよう。
こうして、俺は晴れて武器を手に入れたのだ。そして武器屋の男に頭を下げた事をネタにされてアジトで笑い者になった。
覚えていろケント。いつか貴様を笑い者にしてやるからな。