1ー1 遭遇
俺の名前は狭間 陸年齢は17 性別は男。
ここで普通の高校生、っていったらなんだこいつ、となるのでそれは言わない。
中学高校と続けているのがバスケットボール。俺は背が高かったから、という理由で強制入部させられた。
最初はほんとにイヤだった。なんせバスケは本当によく走るスポーツだ。おまけに持久力もいる。
何度もやめようかなー、と思ったが俺には欠点があった。そう、やめるのが怖かった。
ではここで俺が退部届けを顧問に提出したらどうなっていたかを考えてみよう。
まずバスケ部の同級生に白い目で見られる。これは3年間続くだろうと思う。
次に先輩だ。俺の通っていた学校ってのは不良がいた。これがもう怖い怖い。
無論バスケの先輩にもこういう人がいた。ってかみんな不良だったのだ、バスケ部。
だが後輩には凄い優しい。いっつもヘロヘロになってる俺に応援したり練習に付き合ってくれたり、本当に優しい。
でもこれが他校の生徒やnotバスケ部のやつらにはガンガン絡む。ガンガン問題起こす。
そして顧問。これがもう凄い人。鬼コーチとはなんなのかが始めて分かったと俺は思う。
練習メニューはきついし、ミスしたら凄い怒られる。おまけに殴られる。
だけど試合で頑張って勝ったら、笑顔でさ、良くやった!焼き肉奢ってやる!って言ってくれる人だった。
先輩たちもその人だけには凄いなついていて、まじ第二の親だと思ったよ。
どんな相談にも乗ってくれるし、先輩たちが問題起こしたときも本気でぶつかってるかんじだった。
最後に女子バスケのみなさん。みんな凄いカワイイ。まじ天使だよあの娘たち。
俺たちが試合で汗流してる時に、頑張ってー!って応援してくれるの。
もうホント燃えたね。試合の時だけスタミナ無限だったもん。無論練習ではそうはいかないが・・・
以上の事があり、俺はバスケ部で無事中学を卒業したのでした、と。
高校も中学やってたバスケを続けて、まあそれなりに青春してたと思う。
そんな時だ。俺が、異世界に召喚されたのは・・・・・・・
「今日の晩飯は肉がいいなー!!」
部活が終わり、呑気に自転車を漕いでいた俺はそんな事を言っていた。
「おいおい狭間。お前これ以上でかくなってどうすんだよ?」
「んなもん、両手でダンクしてゴールぶっ壊すに決まってんじゃんか」
「アホか!俺ら活動できなくなるじゃねーか!!」
このツッコミ担当のやつは俺の友達のヨシキくん。こいつも自転車に乗っている。だが二人乗りではない。並走だ。
「いいよな、狭間は背があって。俺なんか170台だぜ身長」
「あーはいはい、リア充君は身長170台でも彼女がいるんですねー。いいですねー」
そう、こいつは彼女がいる。しかもカワイイ。だからこうやってイジる時のネタにするんだ。
「ははは、いつか狭間にも出来るって。じゃあ、俺こっちだから」
「おう。彼女とホテルに泊まるときはちゃんとゴムもってけよ~」
「うるせーよ!!余計なお世話だ!!」
そう言ってヨシキとは別れると、俺はいつもの道でのんびり帰る。そうこれが俺の日常。俺の普通。俺の世界だった。
だけど・・・・・俺はあの日。
家に帰ることはなかった・・・・・
「・・・・・ん?ここどこだ?」
気がつくと俺は森に寝転がっていた。青い空。白い雲。そして木。木。木。まじ殺風景だ。ゆっくり起き上がると遥か先まで世界が広がっているように思えてしまう。
「あれ?俺なんでここにいんの?ってかここどこだ!?」
俺の格好と言えば紺のブレザーに青のチェックのズボン。そして同じく青一色のネクタイ。そしてワイシャツ。まじで学生だよ、俺。
「そうだ、ケータイ使うか。最悪マップ見りゃいいしな・・・」
ケータイが入っているポケットに手を突っ込む。だがおかしい。ケータイのあの感触がない。
(あれ?カバンの中突っ込んでたっけ?今日に限ってそんなことあるか?)
俺は自分の周囲を見てすぐ気づいた。そう、カバンがない!それどころか家の鍵も。音楽プレーヤーもイヤホンも。ブレザーのポケットに入っていたはずのものが全てないんだ。
(さて・・・どうしたものか・・・)
貴重品の全てを失った俺はとりあえず座った。もちろんあぐらをかいて。
(貴重品ゼロ。家に帰る方法はたぶん皆無。おまけに音楽聞けないから暇潰しができない。これはストレスが溜まりそうだ)
俺は一つため息をつき、そのまま後ろに倒れこんだ。きっと上から見たら綺麗な大の字だろう。多分だけど。
(そもそもなんで俺はこんなところにいるんだ?チャリで帰る途中だった気がするんだけど・・・)
そう、今の俺には曖昧な記憶しか残っていない。思い出そうとしても頭が痛くなるわけではないが、とにかく思い出せないのだ。
「ああ~、腹へったな~畜生・・・部活終わりの男子高校生にこれはきついって・・・」
腹が鳴る。きっと胃袋は食い物を求めて胃液を準備しているのだろうか。胃が「スタンバイ完了です!」みたいになっているのだろうか。
不意に音が鳴った。腹の音じゃない。草木の擦れる音だ。それも俺のすぐ近くで。
「クーガさん。ほんとにこの辺なんですかい?」
「ああ違いねぇ。この俺の勘がそう言ってんだからな」
(まずい!なんかヤベー予感がする!)
俺は立ち上がりすぐさまこの場を離れようとしたが、時すでに遅し。間に合わなかった。
まあ、簡単に言うと。目が合った。俺と同じ身長くらいの男と。
そして隣にいる俺らより少し背が低い男とも二番目に目が合った。
冷や汗がでる。心臓の鼓動がはやくなるのを感じることが容易にできた。
(なんでだ・・・なんでこいつら、武器なんてもってやがる!!?)
俺が森で初めて出会ったのは、武装した二人の男だった。