写真
「いや 何も 送ってくれて有難うね」
「こっちこそ あれはわざとじゃないから」
「ああ もういいわよ じゃあね」
そして青年と別れて 部屋に入ったのでした
その部屋は 二十畳程の広さで ベッドやTV
冷蔵庫からキッチン 浴槽まで その全てが
高級品だと私でも一目で分る程だった
これは凄いわね 裸一貫で来ても 直ぐ生活が
できるわ・・・
そして荷物を置くと シャワーを浴びてベッド
に倒れ込んだ ベッドが これまたフカフカで
とても気持ち良く 横になると直ぐに 眠りに
就いたのでした
翌朝空腹と共に目が覚めた私は お腹を抑えて
ベッドから起き上がり 身支度を整えた
取り敢えず朝食を食べて 王子の顔を あっ!
そう言えば 長から写真貰ってたの忘れてた
何処に置いたかな〜 確か封筒に入れたまま
鞄の中に しまったんだけど
どんなに捜しても 見当たらない・・・
おかしいなぁ〜 確かに 鞄の中に〜
その時 グゥ〜と お腹が悲鳴を上げた・・・
ダメだ 探すにも力が入らないわ
私は その場に座り込み 探すのを断念して
腹拵えに町へと出掛ける事にした
村とは違い朝早くから色んな店が開いていた
凄いなぁ〜 流石に町は違うわぁ〜
感心しながら 辺りをキョロキョロと見渡すと
ガラス張りのお洒落な店が目に止まった
お! あのお店 いいわねぇ〜
早速店に入ってモーニングを頼み 席に座った
その時だった 隣の客の会話が聞こえてきた
「今日王子が 騎士団と町に来るんだってさ」
「治安維持の為の見周りかね〜」
「最近町も物騒だからな」
「それそれ 戴冠式迄に 王子暗殺とか」
「バカか!下手な事言ってると首飛ぶぞ!」
「そ そうだったな 危ない 危ない」
そんな噂が流れてるのか 気を付けないと
かなりヤバそうだわね
モーニングを素早く平らげて 表に出ると
早速 通りの向こうで ざわつき始めた
王子が来たのかしら!私は咄嗟に走り出した
すると皆が 王子様〜 王子〜 等と叫びながら
手を振り 先頭で馬に乗った青年が それに
応えて 手を振りかえしていた
あれが 王子か! 私は顔を見る為に近付いた
そして 王子の顔を見た私は驚いて その場に
立ち尽くしたのでした・・・