戴冠式当日
そうかしら?そうだとしても あの人は王子様
私は魔女 住む世界も身分も違い過ぎるわよ
(あらそれじゃあ 貴女も満更でもないのね)
な 何言ってるのよ そんな事ないわよ!
私は心を見透かされている様で ドキッとした
そして それから間も無くして戴冠式当日を
迎えたのでした
戴冠式当日は町中の店が閉めて 総出で王子の
晴れ姿を一目見ようと ゾロゾロと列を作り
町の住民達は 城へと向かっていた
私も その列に加わり 皆と城を目指した
城を目指して 歩いてると 聞こえてくるのは
やはり 王子の会話が主だった
皆 王子様の戴冠式が 楽しみなのね
(そりゃ〜 そうでしょう 町を上げての
一大イベントだしね)
そうよね
私が気の無い返事をすると
(どうしたの?元気ないじゃない?)
そ そんな事ないわよ
(ひょっとして 告られたらどうしよう〜
とか考えてるんじゃない?)
な 何 バカな事言ってるのよ そ そんな事
ある訳ないし それに 私は魔女なのよ
すると暫く沈黙が続き 精霊が口を開いた
(だけど あの王子様は 人間とか魔女とか
そういうのは 全然気にしないわよね)
そうかもしれないけど 私が気にするのよ!
それに身分も違い過ぎるわよ
(まるで告られるの前提みたいね)
何を言ってるの!あなたが言い出したのよ!
(冗談よ そんなに熱くならなくても)
わ 分ってるわよ 全く もう!
等と下らない押し問答を 続けてると
城が目の前に 見えてきた
先頭の集団が門前に着くと 門が開き 中から
守衛が出て来て 住民達を整理して並ばせると
順番に城の中へと 入っていった
そして私の順番になった時
「お〜い ちょっと待ってくれんか〜」
そう大臣が叫びながら 手を振っているのだ
だ 大臣だわ・・・何だろう?
(さあ〜 嫌な人が出てきたわね)
そうね やっぱり 追い出されるのかしら?
(それはないんじゃない?)
どうしてそう思うの?
(追い出す気なら 中に入れないわよ)
それもそうね まぁ行けば分るわね
すると大臣が小走りで 私の前まで来ると
額の汗をハンカチで 拭いながら
「この前は失礼な事を言って すまなかったね
今日は席を用意したから こっちに」
そう言われ大臣の後を ついて歩いてると
(どういう事かしらね?罠じゃない?)
まぁついて行けば 分るわよ
長い廊下を歩き 階段を上がって 大臣が
扉の前で立ち止まると 私に入る様 促した
不安が漂う中 扉を開けて中に入り驚いた
そこからは 王子様が 挨拶をするだろうと
思われるベランダが 一望出来るからだ
そして 見下ろすと中庭には 先程の住民達が
ひしめきあっていた
私は驚いて大臣に 聞いた
「何故 私なんかの為に?」
「差別はよくない ただそう思ったからだよ」
「ですが 私は魔女だから仕方ないんです」
「いや 君も私と同じ人間だよ」
大臣がそう言った時だった 戴冠式開始の
ファンファーレが 鳴り響いた
「さあ 王子が出てきますぞ」
大臣が指差した方を見ると 王子様が右手を
高らかに上げながら 現れたのでした




