真実
「大臣では 無いんじゃ」村長が呟いた
「え?ぢゃあ 一体誰なんですか?」
すると村長は 困った様な顔で口を開いた
村長の言った人物の 名前を聞いて 私は
愕然としたのでした・・・
「そんな事 ある訳が・・・」
「じゃが それが事実なんじゃ」
村長は 目を閉じて 静かに答えた
驚いた私は 王子をみながら
「自分に脅迫状を送るだなんて」そう言うと
王子は俯いたまま呟いた
「外の世界を見たかったから」
「それだけの為に?それだけの為に大臣は
危険な目にあったのよ!」
「いや あれはあんたがやったんじゃろ!」
「あ そっか でもどうしてその理由で
王子暗殺の依頼がきたのよ?」
「じゃから一度この町から王子を連れ出して
脅迫状の主を見つける為にじゃな」
「暗殺ぢゃなくて 護衛でいいんぢゃない?」
「そ それも そうじゃな」
その時 王子の偽者が部屋に入って来て叫んだ
「王子は悪く無いんです!」
それを見た王子は 慌てながら叫んだ
「お お前!どうしてここに来たんだ!」
「え?何々?」
私がそう言って 村長と顔を見合わせてると
王子の偽者が話し始めた
「僕の母親の治療の為に こんな事を」
すると王子がその先を制する様に
「もういい お前のせいじゃない」
一体何がどうなってるの?
きっと村長も私と同じ気持ちだろう
そう思った時 大臣が口を開いた
「王子 もう隠す必要も無いでしょう」
「しかし・・・」
躊躇っている王子の肩に手を置き
大臣が私達の方を見ながら口を開いた
「その二人は双子でな だが王家では代々
双子が産まれると 行く行くは争いを起こすと
忌み嫌われて 育てるのはどちらか一人
そしてもう一人は・・・」
「まさか」私が驚きそこで言葉に詰まると
「そう 闇に葬る事になってるんだよ」
「で でもそれならどうして 生きてるの?」
「そうお妃には出来なかった お妃である前に
母親として出来なかったんだよ」
そう言うと大臣の頬に大粒の涙が伝い落ちて
流れた涙を拭いながら 話を続けた
「お妃は王家と縁を切る事で 赤子を
見逃してもらい この城から出て行った」
私は言葉を失い その場に 佇んでいた
そんな私に構わず 大臣は喋り続けた
「それを知った国王は 君が泊まっている
建物を買取ると私に言ったんだよ」
「償いになるか分らないが せめてあの二人に
住まわせてやってくれと」
「嘘だ!僕は幼い頃から ずっとボロ小屋で
住んで 育ったんだ!」
「それはお妃様が お断りになられたんだよ」
「私は自分一人の力でこの子を立派に
育てて見せます それに私はもう王家の人間
じゃないんですよ」
「それが 私が見たお妃様の最後の姿だった」
大臣の話が終り 部屋は静けさに包まれていた
そして その静けさを破る様に 村長が言った
「それじゃあもう 私達は帰らせてもらうよ」
「さあ 行くよ」
私は村長に急かされ 王子に別れを告げた
そして箒に乗り飛び立とうとした時だった
「待ってくれ!」
私の腕を握り 王子が叫んだのでした




