侵入
「そこの貴女も 付き添うなら早く乗って!」
「は はい!」
私は急かされる様に馬車に乗り込み
診療所迄 揺れる馬車の中で ずっと青年の
手を握っていたのでした
診療所に着いて 注射と点滴で青年の様子は
直ぐに落ち着いた
医師に診てもらった結果 睡眠不足が祟って
高熱が出たらしいが ただの風邪なので
体力も直ぐに回復するだろうとの事だった
それを聞いて安心した私は 青年の寝顔を見て
診療所を 去った
何事も無く良かったと 胸を撫で下ろし夜道を
歩きながら もう 早く終わらそう と呟いて
私は部屋に戻ると 眠りに就いた
翌日 準備を終わらせて 窓から外を見ると
青年の姿は 見当たらず 私はホッとした
よかった まだ診療所で 寝てるみたいね
私は変化の杖をポケットに入れて 部屋を出た
そして城の近くで物陰に身を隠し 息を潜めて
搬入の馬車が来るのを待った
すると暫くして 馬車がこちらに やってきた
私は杖を翳し ネズミに姿を変えると
その馬車の荷台に飛び乗った
そして 荷物の下に潜り込んで 身を隠した
馬車が止まり 守衛と何やら話を交わすと
守衛が荷台の方に来て 布を外し荷物を
調べ始めた 荷物を除けては入念に
荷台の中を見ている様だった
そんなに荷物を除けなくても!
何も無いわよ!私が居るけどね!
そして遂に私の上にある荷物に 手が掛かった
まさか荷物を全部除けて 調べるなんて〜
ヤバイッ!見つかる 私は縮まり体が震えた
守衛がその荷物に手を伸ばして 掴んだ
見つかって 放り出される そう思った時
「守衛さん まだですか〜?遅くなると大臣に
わしが 叱られるんですよね〜」
その言葉で掴んだ荷物を置いて
「そうか まあ変な物が 入ってる訳ないか
毎日 搬入して 調べてるんだしな」
助かった〜 私が変な物ですが 何か〜?
ふぅ まぁ 取り敢えず 城への侵入成功ょ!
馬車は私を乗せたまま 中へと入った
そして周りに人が居ないのを 確認して私は
荷台から飛び降りて 通風口の中に姿を隠した
何処か人の居ない所で 元に戻らなきゃ
ネズミのままじゃ 何も出来ないわ
すると下の部屋から 話し声が聞こえてきた
私は止まり 隙間から覗くと王子の姿があった
誰かと話してるみたいだわ
王子が一人になるのを待つしかないわね
そして私は 身を潜めて 機を窺ったのでした




