目的
私は涙を流す事さえ 出来ずにそして何も青年
に言えないまま 別れて自分の部屋に帰った
村の長からの 命を果たして 早く 村に帰ろう
私は 魔女なんだから・・・
そう自分に言い聞かせたのでした
もう あの青年と会う事も 無いだろう
でも それでいい
目を閉じて上を向いた時 青年の顔が瞼の裏に
浮かび上がり 胸が締め付けられた
そして目を開けると 大粒の涙がボロボロと
零れ落ちた・・・
昨日は何とも無かったのに 何故
私は両手で顔を覆って 涙を拭った
ダメよ しっかりしなきゃ いけない
そして 早く終わらせて村に帰るのよ
何としても 城に潜り込まなきゃ
もう一度城の周辺を調べてみよう
部屋から表通りに出ると 青年が立っていた
そして私の胸は トクンと波打った
「や やあ 昨日はどうも」
「あ いえ こちらこそ」
沈黙が続いた後 青年が口を開いた
「戴冠式が終わって帰る迄の間 少しでも
君と一緒に居られたらなと 思って」
その言葉に鼓動は激しく高鳴り 私は戸惑った
本当は私も一緒に居たいと 思っているから
だけど私は 王子暗殺の為 この町に来た
もし失敗して捕まった時 私と親しくしてたら
この人に迷惑が かかるかもしれない
だから・・・
私が俯き黙っていると 青年が困った顔をして
「あ ゴメンよ 迷惑だったかな?」
「いや・・・」そうじゃない そうじゃ・・・
「また 来るよ じゃあ」
そう言い残し 青年は走り去った
走り去る後ろ姿を見ながら 思った
やっぱり 一緒に居ない方がいい
それに 町に来た目的は 他にあるんだから
さあ 調べに行かなきゃ
私は 城に向かって 歩き出したのです




