テーマパーク
突然の誘いに私は戸惑いを隠せなかった
「え いや でも 私は・・・・」
「いいから いいから」青年はそう言うと
私の手を取り 歩き始めたのでした
青年に手を握られて 胸の鼓動がドクドクと
高鳴った
そして この時初めて気がついた
私はこの人が 好きなんだと・・・
そんな私の思いをよそに 青年はどんどんと
前だけを見て 進んだ
手を引っ張られる様な格好で 私は青年の
少し後ろを ついて歩いていた
ただ それだけだったが それが嬉しかった
このまま何処までも一緒に歩きたい
そう思った時 青年は急に立ち止まり
握っていた手を放して
「あ ゴメンよ つい 手を・・・」
顔を赤らめて 青年は俯いた
そんな青年の姿を見て 私はクスッと笑い
「さぁ 行きましょう」
そう言って再び青年の手を握り締めた
すると青年は顔を上げて 嬉しそうに笑うと
「うん 行こうか!」
そう言って私達は 歩き始めた
そして 少し歩く度に「もう少しだから」
「もう少しだから」を青年は連呼していた
私に 気を使って言ってるんだろう そう思い
「大丈夫よ 歩くのは慣れてるから」
すると 青年は 一呼吸おく間も無く
「有難う 本当に もう直ぐで 着くから!」
そして私は 笑いを堪える事が出来ずに
「き 気を使いすぎだって」笑いながら言うと
「いや どうしても 気になってさ」
赤くなって 頭をかきながら 俯く姿を見て
この人じゃなくて 本当によかった この人が
王子じゃなくて・・・ 私は心で呟いた
そして ハッと思った
そうよ 私は魔女なの 王子暗殺の命を受けて
この町に来たのよ
これ以上 この人とは関わらない方がいい
第一 何で ラブコメ入ってんのよ
その時青年の声で我に返った
「着いたよ〜!」
目の前には公園と言うよりは テーマパーク
と言うべきだろう建物が そそり立っていた
「凄いわね」私が 某然と立っていると
「さあ 早く行こう!」
青年は私の腕を掴んで 走り出した
「いや ちょっ・・・」「待って」
だがテーマパークを前にして キラキラと目を
輝かせながら走っている 青年の耳に私の声が
届く筈も無かった・・・
私は青年に引き摺られる様に テーマパークの
中に入ったのでした




