ノロマ
読みにくい点もあるかもしれませんが、よろしくお願いします!
もし、直すべき点があれば教えて下されば幸いです
今日もいつものように、俺と由香と慶介と薫の四人で教室に残っていた。高校三年になってもう10月も過ぎた今、部活も終わり、このように四人で放課後、集まって話す習慣が付いていた。
「みんな、進路とかどうするの?」と由香がカバンから進路希望調査の紙を取り出した。
「ああ、私は専門学校に行く予定」と薫が答えた。
「俺は推薦もらったからなぁ」と俺は返す。
「いいよな……。みんな決まっていて。俺なんかまだ決めてないし」と慶介は椅子にもたれかかった。するとバーンっと大きな音を立ててこけたのだった。
「いって~!!」と慶介は腰をさすっていた。
「どんくさいな」と慶介の体を起こすために、俺が手を伸ばす。
「あ~あ、机とか巻き込んで大胆にこけたね~」と薫はからかいながらも倒れた机を直してやっていた。由香もそれを手伝って、机の中から落ちたであろう一つのペンを手に取った。
「あっ、それかわいい!誰の?」と薫はそのペンに興味を持った。
「たぶん、伊東さんのだと思う。中学校から使っていたはずだから」と由香が机の中に入れようとしたが、薫が由香からペンを取った。
「え~、これがノロマナの?あの子にはもったいないよね」とペンを見て言った。
伊東真菜。彼女は同じクラスの生徒だが、どこか抜けているというのか、くぼみがあればそこで足をひっかけ転ぶような鈍い女の子だ。だから、クラスの人からは名前の真菜から取ってノロマナとからかわれていたのだった。
「ノロマナで思い出したけど、先月に学校の近所の家が火事になったの覚えている?」と慶介が聞いてきた。
「ああ、その時は学校でも噂になっていたからな」と返した。
「あの時、俺と薫がそこに居合わせたんだ。そこで野次馬の中に交じって見てて……」
「あ、思い出した。そこにノロマナが野次馬の中にいたよね?」と慶介の話に薫が割り込んだ。
「そうなんだよ。あいつがいてさぁ。なんか火を見て笑っていたみたいで不気味だったんだよ」
「ホントに!ノロマナがやったんじゃないの?って疑っちゃったぐらいだもん」と薫は持っているペンを振りながら言った。
「伊藤さんのことで、私も不気味というか変なことが中学校の時にあったよ」と由香もノロマナの話をし始めた。
「私が、伊東さんと同じ中学校だったって前話したでしょ?伊藤さんとは中学校から家に帰る道が途中まで一緒だったの。でも、帰り道であったことは一回しかなかった。それでね、その一回が変な感じだったの。その時は雨の日で、部活の帰りに傘をさしながら帰っていたら、前に伊藤さんが見えたの。こんな時間に帰っているんだって思ったけど、その時はあんまり気にしなかった。でも、伊東さんが途中で路地裏に入って行って、すぐに出てきたの。そしたら、私に気づいて走って逃げたの。」
「え?それが、変な話?」と俺が投げかける。
「ううん。それでね、その路地裏に行ったら、そこに、猫の死体があったの」
「「「え?」」」と由香以外の声が揃った。
「うん。中学の時は伊藤さんが見つけたから路地裏にはけたとか、お祈りしていたとか思っていたんだけど……」と由香が下を向きながら答えた。
「それ、絶対あいつが……」と慶介がその続きを言おうとしたので
「馬鹿なこというなよ!」と俺が声を荒げた。
「でもさ!聞いているだけだと、路地裏に入ってすぐに出てきたんだぞ?」
「でも、あのノロマナだぞ?猫なんてすばしっこくて捕まえられるわけないだろ」と否定した。ありえるわけがないと自分に言い聞かせた。
「けど、そう考えているとノロマナって何か変なこと多くない?」と苦笑いを浮かべながら薫が言いだした。
「何が?」と慶介が聞く。
「いつもさ、休み時間が始まったらすぐにイヤホンつけているでしょ?」
「別におかしくないだろ?」
「でも、MP3プレイヤーをいじっているとこ見たこと無くない?」
「あっ。確かに……」と慶介が思い返していた。
「べ、別に、垂れ流しているだけかもしれないし」とそれもおかしくないと俺は言った。
「もしかしたら、盗聴器とかしかけていて、それを聞いているのかもって」
「冗談だろ!?」
「でも、あの子地味に器用だし。できそうな気もするかも」
「ありえない!ノロマナだぞ?あの鈍いノ、ロ、マ、ナ!」と声を再び荒げる。
「もし、それが、演技だったら?」と慶介がつぶやいた。
「は?」
「鈍いと思わせるための演技。そうやってみんなを油断させといて……」
ガラっと、扉が開いた。四人が扉を見ると、そこにノロマナが立っていた。
「あれ?加藤さんたちまだ、いたの?」とノロマナが声をかけてきた。
「う、うん。伊藤さんはどうしたの?」と由香が答える。
「あっ、忘れ物をして」とノロマナは自分の席に行き、机の中を漁り始めた。
俺らは今まで話していた話題の本人を目の前に黙っていた。正直、怖かった。みんなはどう思っているかは分からないけれど、自分の場合はそれに尽きた。だから、自分が今までノロマナがそういうことをするはずが無いと言っていたのは、これが何となく予想できたからかもしれない。
早く出て行け早く出て行けとばかり願っていた。しかし、ノロマナはずっと何かを探している。すると、こっちの何かに気づいたようでこっちに近付いてきた。
「これ?」と薫の前で立ち止まったのだった。薫は恐怖でノロマナの顔を見ていない。
「なんだよ?」と代わりに慶介が答えた。
「あの、私のボールペン」と薫の握りしめていたペンを指さした。
「あっ、これ?ごめん。落としていたから」と薫はノロマナに手渡した。
「ありがとう!」とノロマナは喜んでいた。そして、教室から出ようとしたとき、ノロマナは机に足をひっかけてこけたのだった。それを見て、自分の中の恐怖が吹っ飛んだ。やはり、みんなこと思ったらしく、
「無いよな」と慶介が言い、三人がうなずいた。
すると、ノロマナは起き上がり、服に付いたほこりを払いこちらを振り向いたのだった。
そして、
「あるかもね」とボールペンを振りながら言ったのだった。
今回は最後を決めないで終わらせました。その先はご自由にという形でww
初めて、こういうジャンルを書きましたが、小説というのは伏線を考えるとか難しいものだと改めて知りました!