第8話.興味?
梅雨も終わり、季節は暑い夏になろうとしていた。
私は毎日授業が終わると、一目散に音楽室のある4階へと向かった。
なぜなら、先生は音楽室の近くにある男子トイレの掃除監督をしていたからだ。
掃除当番の子が集まるまでの間、少し先生と話が出来る。
クラブの前に先生と話せると、それだけで練習もうまくいったりした。
HRが終わるのが遅いと、掃除が終わって先生は職員室に戻ってしまう。
この日も、いつものように先生のもとへと急いだ。
いた!
まだ掃除当番の子達は来ていないようだ。
登
「まだ集まってないのん?」
永坂
「うん。今からクラブ?」
登
「そやで!もうすぐコンクールやし、頑張らんと!」
いつものように何気ない会話をした後、副部長なので色々準備することもあり、私は音楽室に向かった。
荷物を置き、色々と準備をしていると、誰かが声をかけてきた。
「ここでやってるんかぁ〜。」
先生だ!
私はすごくうれしかった。
いつも行動を起こすのは私の方で、まさか先生から来てくれるなんて思ってもみなかった。
登
「うん、そうやで☆いっつもここでやってるから暇やったら見に来てな!」
どうやらまだ掃除当番の子達が来ないみたいで、ひょっこりと音楽室に顔を出してくれたようだ。
すごく些細なことに思えるかもしれないが、この時の私にとって、地球がひっくり返ったんじゃないかと思う位びっくりする出来事だったのだ。
先生が、少しは私に興味を持ってくれたってことかな?
プラス思考な私はそう感じていた。