第6話.優しく、意地悪な先生
メモ用紙には何か文字が書かれていた。
登
「!!!!!!」
先生の番号とメアドだ!
私は思わず叫びそうになった。
すると先生が分かっていたかのように、
永坂
「叫ぶなよ!」
と、私を制した。
登
「うん…。」
私は慌てて手で口をおさえた。周りにはまだ先生が大勢いる。
私は信じられなかった。先生は予め、番号とメアドを書いていたのだ。
そのくせ教えてくれないような素振りを見せてじらしやがってぇ!!
しかもこんな演出まで!!
先生はちょっと楽しんでる感じがした。
私、からかわれてるのかなぁ?
どっちにせよ、番号とメアドをGETしたのだからよしとしよう!
先生に負担をかけないように、
「返事はいらないよ☆」
と言った。
そう言うことで、私の気持ちも少し楽になった。
だって、メールを送って返事がなかったらヘコんだりしてしまうから、はじめから返事がないと分かっていた方がよいと思ったのだ。
私の性格上、期待しすぎて返信がなかった場合、ぺしゃんこに潰れてしまう危険性がかなり高い。
一言で言えば、ただの弱虫。けれど、メアドを交換出来ただけで、十分幸せだった。
この日先生は、玄関まで私を見送ってくれた。
職員室から玄関までの道のりは、とっても幸せだった。そう、まるで恋人にでもなった気分だ。
このままずっと廊下が続けばいいのに…。
先生は優しい。けれども意地悪だ。
そんな先生の性格がよく表れた出来事だった。