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高校教師  作者:
6/10

第5話.進展

 先生と話すのが楽しくて、私はほとんど学校を欠席しなくなった。

次第に欲が出てきた。自分だけが特別になりたいと思うようになったのだ。

メアドを知りたい。先生とメールがしたい。

だけど前任校での話を聞いて、携帯教えてと気軽に言えるわけがない...。

「いいこと思いついた!」

名案が浮かんだ。

英語の試験の点がよかったら、ご褒美にメアド教えてもらう約束をしよう!

 思いたったら吉日、私はすぐに先生のもとに向かった。

 先生は承諾してくれた。

先生の思う合格点を採ったら携帯番号とメールアドレスを教えてもらえることになった。

 私はめちゃめちゃ勉強した。英語ばっかり集中的に。

 試験が始まった。

「…………。」

難しい!応用問題が難しすぎる!

教科書からの問題は、勉強の甲斐あってなんなくこなせたが、教科書外からの応用問題がめちゃめちゃ難しかったのだ。

90点台を目指していた私は、焦った。

応用問題だけで20点位ある。なんとか頭をフル回転して、試験用紙の空欄をうめた。

一つだけどうしても思い浮かばなかった欄があったので、人がイ〜ってしてる絵を描いてやった。

 そんな感じで試験も終わり、私は次の日授業が終わると、一目散に職員室へと向かった。

「先生、採点もう終わってる?」

私は聞いた。

永坂

「終わってるよ。」

そう言うと先生は、引き出しから試験用紙を取り出した。

私の試験用紙を探し、

永坂

「はいっ。」

緊張の一瞬だ……。


"86点"

私がイ〜って描いた絵には、赤ペンで

"(笑)"

と書かれてあった。


 微妙だ。実に微妙な点だ。

私は勇気を出して、先生にこう聞いた。

「これ…、合格点?」

すると先生は軽くからかった感じで、

永坂

「さぁ、どうやろ?」

と言った。

登『なに〜!どっちやねん!このリアクションはダメと考えるべきなんかぁ!!!!』

心の中で叫んだ。

「それは…ダメってこと?」

登、よく頑張って聞いた!

永坂

「う〜ん…どうやろなぁ(含笑)」

せっかく頑張って聞いたのに、またはぐらかされたぁ!!

 そんなやりとりをしばらくした後、諦め半分でいつものように色々な話をした。

パンの歌の話とか(なんやそれι)。

 ふと時計を見たら、7時になっていた。

7時を過ぎると永坂先生は帰りなさいとうるさい。

なのにこの日は、なんだかいつもより優しい。

永坂

「もう7時かぁ…。」

先生はおもむろに引き出しを開け、メモ帳を取り出した。

「あっ、それ前くれたピングーのメモ帳やん。」

私はいすに座り、くるくる回りながら言った。

そのメモ帳は、以前英語のことで友人と質問して聞いたことを、後になって訂正したことを書いて私達にくれたものだった。

永坂

「最後の1枚やぁ。」

ビリっ。

先生がメモ帳を破る音が聞こえた。

永坂

「はいっ。」

先生はその最後の1枚のメモ用紙を、私に手渡した。

「くれるん?やったぁ!!」

まだいすでくるくる回っていた私は、ただメモ用紙をもらえたと思って、くるくる回りながら喜んだ。

「ん!?……」

私は異変に気付いた。


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