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高校教師  作者:
5/10

第4話.告白

 それからすぐ、私は先生に告白をすることにした。

あれは5月だったろうか?

 永坂先生への気持ちを確信した私は、少しでも先生に特別に見てほしくて、自分の気持ちを伝えることにした。

もちろんいい答えなど期待していない。

先生にとって私は一生徒でしかないのは分かりきっている。

しかし、告白すれば少しは特別視してもらえるかもしれない。これは告白するしかないだろう。

 だが、いざ告白となるとなかなか勇気が出ないもの。

少し部活が早く終わった私は、友人の優子に相談することにした。

以前から先生への想いは優子に伝えていたが、告白すべきかどうか第三者の意見を聞こうと思ったのだ。

帰り道の公園で、私達は話をした。

優子

「もう登の中で気持ちは固まってるんやろ?」

「うん。」

優子

「じゃあ言うしかないよ!!」

「…今から、言いに行こうかな?」

優子

「それやったら行こう!」

色々話して私達は学校に戻ることにした。

 職員室前で、私はなかなか前に踏み出せずにいた。ドアが開けられない…。

そんな私を見て、優子が私の背中を押す一言を言った。

優子

「今ここを開けないとなんにも始まらへんで!!ここから始めないと!!」

私は思い切ってドアを開けた。

先生は自分の席に座っている。

「先生、ちょっと来て!」

永坂

「ん?何?」

「いいから来て来て!」

周りの先生が不思議そうな目で見る中、私と先生は職員室を出た。

先生はずっと、何?何?と言っている。

誰にも見られないように、私は二階の廊下に先生を連れて行った。

6時頃だったろうか、辺りは薄暗くなっていた。

永坂

「何?どうしたん?」

「ん...、あんな...、えっと...。」

なかなかうまく言葉が出ない。

私がもたもたしていると、教室に電気がついていることに気付いた。誰かいる。

これはまずいと、急いで近くの教室に入った。

薄暗い教室に、先生と私二人。静かな空気が流れる。勇気を出して、私は口を開いた。

「急にごめんな。...あのな...、ん...。先生のことが、...好き...です。」

やっと言えた。心臓は今にも爆発しそうだ。先生はキョトンとしている。

「びっくりした?」

永坂

「うん...。」

「気付かんかった?」

永坂

「うん。全然分からんかった。なんか見せたいものでもあるんかなぁと思ったわぁ。」

「えー!絶対気付かれてると思ってた。だって、毎日先生んとこ行ってたやん。」

永坂

「でも分からんかったわぁ。」

そして先生は、私の告白に対しての返事をしてくれた。

永坂

「ん...、僕と君は教師と生徒やんか?だから、そういう風には思われへんわ。」

この返事は予想していた。なんせ私は、一度中学の先生に告白している。

「そう言うと思った。」

永坂

「それに多分、それは一時的な感情やで。まわりにいっぱいおるやん。僕オッサンやで。」

「それも言うと思ってた。」

先生は笑った。

永坂

「なんか、見透かされてるなぁ(笑)」

「うん。お見通しやで!」

ふられているのに、なんだか幸せな時間だった。

「彼女は...おるの?」

永坂

「彼女はおらんけど、仲のいい人はおるよ。実習で一緒やった人。」

多分、先生はその人のことが好きなんやろうなぁ、と感じた。少しショックだった。

それから先生は、自分の恋の話をしてくれた。

大学の時の淡い恋の話。

一回生の時、四回生の人と付き合ってた話。

1時間以上話していただろうか。辺りはすっかり暗くなっていた。

永坂

「前の学校におった同い年の先生がな、生徒と付き合ってたんよ。なんかな、教師と生徒って対等な立場じゃないやろ?

教師は自分のいい部分しか見せへん。

職権乱用な感じがして、その時僕は絶対生徒とは付き合わへんって決めてん。」

「そっか...。元生徒も?」

永坂

「うん。元生徒も。」

「絶対ない?」

永坂

「絶対とは言いきられへんけど。」

「じゃあ、頑張る!私はなかなか諦めへんで☆」

我ながらなんとプラス思考な発言ι

先生は笑っていた。"ガラッ"

ドアが開いた。そこには教頭先生が立っている。

登『え〜っ!!』

私は心の中で叫んだ。

電気もついていない真っ暗な教室。教師と生徒二人きり。

なんともあやしいシチュエーション。

まずったと思った。

永坂

「ちょっと話があったんで。もう帰ります。」

先生がなんとかごまかしてくれた。

永坂

「遅くまでごめんな。気ぃ付けて帰りや。」

私が呼び出したのに、先生が謝ってくれた。

本当に優しい。

玄関まで送ってもらって先生と別れた。


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