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高校教師  作者:
10/10

第9話.レンタルとプレゼント

 ある日私は、先生のファンの子が先生にCDを貸しているのを目撃した。

これは私もうかうかしてはいられないと、当時気に入っていたAJICOのアルバムを先生に貸してあげた。

先生はあんまり興味なさそうだったけど…(^_^;)

 こんなこともあった。

ゴールデンウィークに入る前、私は先生に本を貸した。三代目魚武の本だ。

あまり本を読まない私も、一気に読んでしまうほど面白い本だったので、是非先生にも読んでほしいと思ったのだ。

同じ本を読むことで、先生との距離を縮めたかったのかもしれない。

先生は、

「面白そう。」

と言ってうれしそうに本を受け取ってくれた。

 先生は私の友人が所属するバドミントン部の顧問をしていた。顧問と言っても名前だけだが。

友人には先生に本を貸したことを話していた。

ゴールデンウィーク中に試合があったようで、試合会場で先生が終始その本を持ち歩き読んでいたことを、友人が教えてくれた。

私はとても嬉しかった。

先生は、ちゃんと読んでくれてたんだ。

 ゴールデンウィークも終わり、早速先生の授業があった。

授業終了後、先生に本のことを聞いてみた。

「先生、魚武読んだ?」

永坂

「あぁ〜、読んだよ。面白かったわ!

ちょっと待って。本持ってくるわ。」

そう言うと、先生は職員室までわざわざ本を取りに行ってくれた。

永坂

「はい。長い間ありがとうな。」

そう言われて嬉しかった反面、先生との繋がりが一つなくなった気がして、少し寂しかった。


 その日の放課後、珍しく先生から職員室においでとのお誘いがあった。

ウキウキ気分で先生のもとへ行くと、先生はゴールデンウィーク中の話をし始めた。

先生には姉と弟がいるのだが、親戚の法事があり、その合間に姉弟で海を散歩したらしい。

「姉弟仲いいんやね!」

私がそう言うと、先生は少し照れながら、

「はい。おみやげ。」

と、きれいな貝殻を私の手に置いた。


「えー!!!!」

私は目をまん丸にして驚いた。

「その時に見つけたから。」

先生が、また照れながら言った。

「これ、私の為に拾ってくれたん?」

調子に乗って、こんな質問をしてみた。

すると、先生は、

「まぁね。たいしたもんじゃないけど。綺麗やったから。」

と言った。

「うれしいよ!買った物とかよりもうれしい!ずっと大事にするね!」

永坂

「大袈裟な(笑)」

「ちっとも大袈裟じゃないよ。だって、先生にもらった初めての物やもん!大事にする!」

そう熱く語る私を、先生はうれしそうに笑いながら見ていた。


 そんな小さな幸せが色々あった前期(私の高校は2期生)の半分はあっという間に過ぎて、早くも夏休みに突入した。

普通ならうれしいはずの夏休みだが、受験勉強プラス先生に会えないというのもあり、憂鬱な夏休み……のはずだった。


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