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幕間 ~三者三様~

「じゃあまた新しい薬ができたら来るね♪ サンツさんもまた是非いらしてください!」

「……」

「……」

「…サンツ生きてるか?」

「……いや、俺生きてる?」

「返事ができれば上等だ」

「……てか薬だけじゃなくて、包帯とかきつくて痛いんですけど」

「これがデフォルトだ。慣れろ」

「無茶な…」

「それに、今回はアタリらしい」

「アタリ?」

「まだこの薬は効き目があるみたいだからな」

「ハズレだと?」

「痛みがあるだけで、傷は治らない」

「拷問用だね…」

「違いない…」

「あー…言い忘れてたけど、あの時助けてくれてありがとうね」

「あぁ、別にいいよ。どういたしまして」

「いや、ありがとう。けど、これに巻き込まれたことに関しては文句を言いたい」

「週に一度、これを体験している俺の気持ちにもなれ」

「…同情するよ」


 結局陽が陰って、部屋に斜陽が入ってくるまで二人の男は動かずに痛みに耐えていたとか。

 もちろん、勤務に遅刻したサンツは隊長から更に怒られた。






◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「姫、どうなさいました?」

「いや、なんていうか、今『彼』を観察してたんだけど…」

「ライオネル、ですか?」

「うん、なんかよく分からないものね」

「そういうものですよ。あの狂戦士を理解しようなんて無理です」

「うん、でも…不思議ね」

「?」

「市販の薬ってそんなに痛いのかしら?」

「姫?」

「ううん、なんでもない」


 ハバーレス街から少し離れたところで銀髪の頭をふるふると振りながら赤い目をした美少女は従者に向かって次の指示を出していた。


「さぁ、計画を進めましょう」


 歌うように、口から言葉が紡がれる。


「約束の時から千年が経過したわ。今こそ帝国は罪を償わなくてはいけない」


 銀髪の隙間から赤い瞳が輝いた。


「贖罪の時よ」





◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「おっちゃん!」

「うおっ! なんだ、アデス、お前か。後ろからいきなり飛び付くな」

「いやー、熊みたいな巨体が見えたからさ」

「相変わらず上官に対する態度がなってないな」

「何言ってんの、俺とアンドリューのおっちゃんの間柄じゃない」

「おっちゃん言うな! というか、お前また単独で行動したらしいな」

「あぁうん、後でその話をしに行こうと思ってたんだよねー」

「何があった」

「悪い事と良い事が1つずつ、かな」

「なんとも言えんな」

「まあ、後で部屋に言ってから話すよ。てかさ、おっちゃん来週くらいに視察あったよねー?」

「ああ、商都コマーサンドのほうへ4日ほどな」

「あーなるほどねー。いいね、いいね」

「何がいいんだ?」

「いやーそれも後で話すよー」

「今すぐではないのか?」

「ちょっと後でねー。俺この剣を自分の部屋に置いてきたいからさー」

「布に包んで…抜き身か?」

「まあねー。んじゃ、また後でー」

「おう」


 そう言って自分の上官と一端別れアデスは自室へ戻る。

 刃の部分を布で包んであったマートンの剣を取り出し、自室の一番日の当たる壁に掛けた。

 そしてしばらく陽光を反射する剣を眺めたあと、自分の顔をパンっと一叩きして、再び部屋を出て行った。

改めまして、作者の紅茶大全と申します。


まずは、ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ここまで16日間連続更新を行ってきましたが、ここで1週間ほどお休みをいただきます。

次話の作成と、あとは誤字脱字を直したいと思っています。




さて、物語は始まったばかりです。



傷跡を残しつつも終わっていない戦争

救国の英雄と呼ばれ全滅した『黒装束』

その隊長で狂戦士と呼ばれたライオネル

戦友である破炎のアデス

その上司であるアンドリュー



そして、ライオネルを遠くから見つめる「姫」と呼ばれる女は一体何者なのか!?



彼らを中心として物語は回り始めます。いえ、まだもう少し登場人物は増えるのですが。

それでは続きは2話で!

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