終
欲と願いとは紙一重であり、人々は昔から、何かを“欲する”為に“願う”
それは、本能的なもの。だから、一概に悪いとは言えません。
“困った時の神頼み”というご都合主義な言葉もありますが
まぁ、それも自然な事です。
大事な事は、それが“善い”事なのか“悪い”事なのか、です。
貴方が誰かの為に何かをしたいと願った時――
神の使いは、貴方の前に現れる、かもしれない。
「にぃちゃん、にぃちゃんってばー」
「あぁ、ごめんごめん。何だい?」
「だーかーらー、それ、何書いてんだよー」
「あぁ、これか。……お前にはまだ早いよ。もっと大人になったら、見せてやるよ」
「えー。ケチー」
「ははははは」
「そーいえばよー」
「? 何だ?」
「にぃちゃんを助けてくれたオウジサマ、ケッコンしたらしいぜー」
「え? 誰と?」
「それがさー。なんかよくわかんないんだよねー。母ちゃんがゆーには、神サマのマゴらしいんだけどさー。そーいや、神サマが新しくなった、とかも言ってたなー。前の神サマがフーフでインキョしたー、とか。次の神サマもフーフでがんばるー、とか。つか神サマなんているわけもないのにさー」
……そうか、あの方が……。本当に、大きくなられたものだ。
「おい、にぃちゃん。聞いてんのー?」
「あぁ、聞いているさ。でもな」
「?」
「神サマって奴は、本当にいるんだぜ?」
俺を助けてくれたように、な。
「……にぃちゃんのウソつき」
「嘘じゃねぇって。ホントだよー」
はははははは
これは人々がまだ神の存在を信じ、共に歩んでいた時代の話――
これにて、夏休み企画(?)Living thingは完結です。
大変長らくお付き合いいただき、誠にありがとうございました。