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⑪ ウィリデの高揚

宙を舞う氷の槍でできた塀。

殺意のこもったルナの眼差し。

この絶体絶命のピンチの状況であるにもかかわらず、ウィリデは全身の毛が粟立ち、木刀を握る手が強くなる。

ウィリデは決して、恐怖を抱いているわけではない。むしろ、溢れ出るほどの喜びが頭の中を支配していた。


ああ、これだ。久しく感じなかった手に汗握る、命のやり取り。

手加減の必要性を感じさせない、『知っている側』の顔。

この間に、アストが岩を壊しているかもしれない、だが、湧き出る好奇心がウィリデをこの場に引き留め続け、彼の頭の中をこの状況を打開させるための策を講じさせるだけのものへと変えてしまう。

ウィリデの口角が自然とほころんだ。


アストによってさらに狭められた土俵、リングに立っているのはルナとウィリデのみ。

ルナはいつでもとびかかれるように、ジリジリと間合いをつめている。


ルナはウィリデが瞬きをしたタイミングを見て、剣を振り下ろした。

この籠の外では魔術の発動の準備が整ったアストが最後の詠唱を唱える。

「“水の矢(アクア・アロー)”」

その瞬間、ウィリデは加減を忘れて木刀を振った。

振り下ろされた場所の槍は破け、当たった大地は裂けた。放たれた風圧は魔術で放たれた水の矢を砕き魔術陣そのものを消した。

一部始終を観戦していたツバサたちそして、間一髪で避けたルナとアストでさえも何が起こったのかわかっていなかった、理解できなかった。

補足

ウィリデの興味を引いたのは、ルナが先生に対して殺意を向けたから。

ウィリデもある意味、戦闘狂である

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