⑲ 0組寮管理者・兎月-1
お待たせしました。
「ようこそ、0組寮へ」
玄関口の管理室と書かれた一室のカウンターでちょこんと座っている、ウサギの機械。
流暢に話しているが、ときどき小さくキュイーンというような冷却している音がしているし、眼はカメラだ。
「おかえりなさいませ。ワタクシは兎月と申します。新入生の皆様へ当寮の利用の仕方、並びに注意事項をご説明いたします。先生方は、学園長より呼び出しの連絡がかかっております」
「ウィリデ、行くぞ。ついでに朝のこともだ」
「忘れてなかったのかよ!!」
嫌がるウィリデをずるずると引きずるアレク。抵抗も虚しく、ウィリデの悲痛な扉に消えていった。
どんまいです、ウィリデ先生。
ウィリデの自業自得としか言いようがない。
「それでは、寮内のご案内をします」
何事もなかったかのように、ルナたちの最前列へと行く。
それは、機械だからなのかそれとも、慣れているからなのか、ルナたちにはわからない。
「階段の右側にあるお部屋が女子生徒、左側のお部屋が男子生徒のものとなっております。また、個々のお荷物は事前に各お部屋に置かせていただきました」
階段の前で説明をする兎月は、踵を返すがそもそもの体が幼い子どもくらいの大きさのため移動するのに時間がかかってしまう。
ルナはもふもふと揺れる尻尾が、いや、少々大変そうだなと思い、兎月に近づく。
「ねぇ、兎月」
「おい、ルナ…」
「はい、何用でしょうか?」
「抱っこしましょうか?」
ルナの声は少々震えており、親切心からではないことは一目瞭然だ。
唯一、わかっていたアストはルナを止めようとしたが、兎月が答えてしまったため、遅かったと後悔の色を滲ませた。
手を広げて言うルナだが、その目は目の前に餌を見つけた動物のような、好物を見つけた子供のようなものだ。
あまりの気配の変わりようにアスト以外が驚愕する。
「ルナは、可愛らしいものとか愛嬌のある動物が好きなんだよ」
そういって鼻息を荒くするルナを遠い目で見る兄。
それだけではなく、好奇心も旺盛だ。
過去、それで酷い目に何度もあっている。
むしろ、こっちの方が厄介だ。
一番ヤバかったのは、『マナ・シェイカー』はどのくらいの魔力で反応するのかというものだ。
わざわざ、マナ・シェイカーを捕まえて。
ルナは、自ら、嬉々としてトラブルを招き入れるのだ。
そう言うところは、似ているんだよな。
アストは曇りない笑顔で観測するルナを思い出した。根っからの研究者気質である。
なんだかんだ言いつつも、きちんとルナに付き合うアストも大概である。
現在、ルナは当時と同じ笑顔をしている。
「…お願いします」
兎月の答えは意外なものだった。
お久しぶりです。
完結設定をするなら、キリ良く1章か1節をやり切ってからの方がいいと思いまして、再び投稿します。




