⑯ 魔獣の森でサバイバル-7(side:シュナ)
ルナと別れてから、一心不乱にアレクたちの元へと辿り着いたシュナ。
すでに、シュナとルナ以外が集まっている。
「あっ、お姉ちゃん!」
双子の妹シュカが手を振った。
シュナはアレクの元へと一目散に向かう。
「ルナが、あそこに!」
もう森どの木よりも大きなリス型の魔獣をシュナは指差す。
アレクと肉親であるアストはその方面に向けて駆け出した。
「え?!」
「あれは、シュナがやったのか?」
驚くのも無理はない、ビッガートスクは対象の魔力に応じてその身体が変化する。つまりは、とんでもない量の魔力を一人で保有するか、何百人という人数を掛け合わせるか。どちらにしろ、魔力の塊でない限りここまで大きくなるはずもない。
しかし、パトリックはシュナに愚問を言った。
「私がそんなに魔力を持っていたら、札なんて使ってないわよ」
「それも、そうだな」
「せめて、フォローして」
幼馴染の同意の言葉にシュナは口を尖らせた。
魔術札は魔族にとって、あくまでも魔力の少ない人向けの魔術の補助、精霊との交信の道具にすぎない。精霊との繋がりは魔力を直接分け与えるだけでも可能だ。ただし、都市を丸々一つ動かせるくらいの魔力と引き換えにだ。
「あれ?小さくなっていくよ」
シュカが声を上げる。
アレク先生が間に合ったのかな?
段々と木々の沼に沈んでいく、ビッガートスクにシュナは安堵の息をこぼした。
「ねぇ、シュカ」
「なぁに?」
「この森って薄暗い?」
そういえば、とシュナはルナが言っていた言葉を思い出す。
「そんなわけないじゃん。今、昼間だよ。日差しもちゃーんと当たるのに暗いわけないじゃん」
「そうよね」
「変なお姉ちゃん」
シュカはシュナの質問に笑って答える。
シュナ自身もこの森が暗いとは思っていない。むしろ、時々木々を揺らす風や木の葉の擦り合う音も、心地の良さを感じる。
なぜ、ルナはこの森を薄暗いなどと言ったの?
シュナの心には疑問が残った。
小話(アスト&アレク 迷子の旅)
アスト「こっち?」
アレク「そっちじゃない」
アスト「なら、こっちだな」
アレク「向こうは来た道だ」
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