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78話 空でのやり取り

ネリーに連れられて空を飛行中。


「ミツキさん、それでは首を失礼しますわ。」


あ、空で逃げられないように捕まえて吸血するつもりなんですね。

いや、まぁ本気で抵抗すれば逃げられなくはないけど……。

別に初めてじゃないしなぁ。


ネリーの顔が徐々に近づいてくる。

気のせいかな? なんか息荒くない? それに、俺を抱き締めてる腕の力も強くない?

絶対“美味しい物に逃げられないようにしてる”だろ、これ。

……大丈夫か? 俺、全部吸われたりしないよな?

死ぬよ、マジで。


「10年ぶりのミツキさんの血ですわ……はぁ、はぁ。」


『ねぇ、ネリー顔やばいよ。あ、あんたには見えないのか。』


おい! 本当に後ろで何が起きてんだよ。

あの……マジで大丈夫なんだよね? 中毒者みたいな反応やめてくれない?


『なんか、私も背筋が寒いんだけど……。』


「い……いただきます。」


首筋にゆっくりと口が当たり、ネリーの牙が俺の肌を突き破り、ゆっくりと血を吸い上げる。

あぁ、この血を抜かれる感じ、久しぶりだな。

あ? 別に快楽とか来ねぇよ? 俺、状態異常耐性めっちゃ高いし。


『私はこういうの嫌い。なんか不快だし。』


ゆっくり血を抜かれてる感覚と、ネリーがしゃぶってくる生々しい感じしかない。

……もう慣れたよ。


「あぁ、美味しいですわ……チュッ。これは何にも変えられませんわ。ペロペロ。」


「あの? いつまで吸ってるのネリー。」


「あ、ごめんなさいですわ。あまりの美味しさに我を忘れていましたわ。」


「いや、まぁいいけどさ。」


「本当にわたくしは、エリクサーよりこっちの方が回復しますわ。」


うーん、俺はネリーの回復薬なのか……なんか複雑だな。


「これで何でも出来ますわ。それで、どうするんですの?」


「うん、噴火のタイミングで俺が桜島をできるだけ凍らせて時間を稼ぐ。

その後を海の方でも何でもいいから――吹き飛ばすなり、消し飛ばすなり出来ないかな?」


「ミツキさんとしては、どちらがいいんですの?」


「そうだね。できれば“消し飛ばせた方”が津波とかの二次被害が無いから嬉しいけど……出来るの?」


「えぇ、わたくしもただ10年間ミツキさんを探していただけではありませんわ!

わたくしの新しい魔法をお見せしましょう。」


「わかった。それならネリーを信じるよ。

多分、噴火の時に地震が起きるはずだ。

無いパターンもあるけど、大規模な噴火ならある。

その瞬間、俺を噴火口近くに投げてくれ!」


「分かりましたわ。それで時間は何分ほど稼げそうですか?」


「俺の魔力量は残り1/3くらいだ。だからエリクサー1本頂戴。……飲みたくないけど。」


ネリーが服のポケットから一本の小瓶を取り出して渡してきた。


「はい、どうぞ。」


「よし、飲むぞ……行くぞ……やるぞ……。」


『私もエリクサー嫌いなんだけど。』


そう言うな。俺だって好きじゃねぇんだから。


「飲まないんですの?」


いや、不味いの分かってるからさ、こう……粉薬飲む時みたいに“気合い”が必要なんだよ。

戦闘中はそんな悠長なこと言ってられないけど。


「行きます!! グビグビ……。

オェ……まっずいわ。」


『あぁぁぁ、私にも感覚の共有が!! 最悪!! まっずぅいよぉぉぉ!!』


フェンリルの躾に“エリクサー飲むぞ”って脅したら言うこと聞くようになるかもな。

現実的に無理だけど。

でも、俺の魔力と体力は完全回復した。

なんでこの世界で体に効くものって、基本的に全部不味いんだろうな。

甘くて飲みやすくてもいいじゃないか。


「よし、準備は万端だ! ネリー、そのままもう少し桜島の方に進んでくれ。」


「分かりましたわ。」


俺は夜の空を、ネリーと共に駆け抜けた。


「それでミツキさん、どれくらい噴火を凍らせて押さえられますの?」


「うーん、正直初めてだから分からない。

自然は強いし、今回みたいな規模ならエネルギーも相当強いだろうし。

1分……もって3分かもしれない。」


「分かりましたわ。それなら1分で出来るように善処いたしますわ。

わたくしもこの魔法は無詠唱では難しいので、かなり集中しなくてはいけません。」


「よし、俺もいつでも行けるようにスタンバイしておくか。行くぞフェンリル!」


『まっかせなさい!!』


「『魔神化』!」


俺の体から魔力の高まりを感じる。

体はいつもより成長し、身長も少しだけ伸び、子供のような見た目からやや大人の顔に変わる。

“かわいい”というより“綺麗”な姿へと変化していた。


「懐かしいですわ、ミツキさんのその姿。魔王討伐以来ですわね。」


「『そうだな。』」


「それにしても、再びミツキさんに会うことができて……私は幸せですわ。」


「『俺も嬉しいよ。もう会えることは無いと思っていたからな。』」


ゴゴゴゴ……と、地鳴りのような音が響いた。


「『不味い! 地震が!! ネリー、俺を手加減無しで投げろ!!』」


「分かりましたわ!! 《真祖解放》いきます!!

上に投げますから、私の足に乗ってください!」


ネリーの蹴りに合わせて足を踏み出し、俺は勢いよく空へ跳んだ。

見下ろすと、ネリーの姿がいつもより大人びたものに変わっていた。


「『行くぞフェンリル、詠唱を始めるぞ!!』」



感想がありましたらぜひよろしくお願いします。


誤字脱字や設定がおかしいなど些細なことでも書いていただけたら嬉しいです

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