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14話 カーティス・ロウ

豪華な個室の一室。紫煙と酒の香りが漂う中、灰色のスーツを着た男が椅子にもたれていた。


 「……なるほど。銀狼がSIDに捕まった、か」


 カーティス・ロウ。

 彼の前で報告を終えた部下が頭を下げると、カーティスは静かにグラスを回した。


 「少し、もったいないことをしたな」


 窓の外の夜景を眺めながら、彼はぼそりと呟く。


 「もう少し早ければ、“テスト”くらいはさせられたのにな。ま、仕方ない」


 部下が問うように視線を向ける。


 「……FAIRYの件は、いかがしますか?」


 カーティスはわずかに口元を緩めた。


 「あんなものは所詮、煙幕にすぎんよ。SIDの目を逸らすための“表の顔”だ。裏で何を探しているか……奴らに悟られるわけにはいかない」


 黒いアタッシュケースへと目をやる。重々しく、そして厳重に封じられたその箱には、誰も知らぬ“本命”が眠っている。


 「まぁ、もちろん商売になるならそれはそれで構わない。動くにも、情報を買うにも、人を動かすにも……金は要るからな」


 琥珀色の液体がグラスの中で波打つ。


 「いいか、“本物”は別だ。あれは歴史を覆す。世界を超える鍵となる。あんな市販の薬物とは、比べるべくもない」


 その言葉に、部下は小さく息を呑んだ。


 「ラプラスの棺……ですか?」


 カーティスはその名を聞いても、否定も肯定もせず、ただ笑った。


 「星の歪みが七つ……今、俺たちが立っているこの場所こそ、そのひとつ目の可能性が高い。ようやくたどり着いたのさ。数年を費やしてな」


 「しかし、鍵穴の“扉”は開いていない。肝心の開き方が、まだ……」


 「焦るな。開け方は、必ず存在する。ダンジョンコアはすでに設置した。あとは、この星の“脈”を刺激して反応を待つだけだ」


 そう言って、彼は手元の端末に目を落とす。地図上に浮かぶ幾何学的な紋様――星を巡る線が、僅かに光っていた。


 「そして……現れた、“銀狼”」


 「……偶然ですか?」


 「否。異世界の力を宿した存在が、このタイミングでこの場所に顕現する――偶然で済ませるには、都合が良すぎる。

“星が交差する”という仮説が、現実になりつつある証だ」


 カーティスは立ち上がり、窓の外の夜空に目を向けた。


 「SIDも気配には気づき始めている。だが、奴らは手段も目的も分かっていない。

我々の計画は、順調に進んでいる」


 ふ、と笑みをこぼす。


 「いつ気づけるか。まぁ、奴らには無理だろうな」


 再びアタッシュケースへと視線を戻す。


 「時は満ちつつある。七つの鍵が揃えば、“棺”は姿を現す。この星がただの通過点ではないと証明される時が来るのさ」


 そう呟きながら、カーティスはゆっくりとグラスを傾けた。


 「それにしても懐かしいな。

私が初めてこの世界に来たときは驚いた。死んだと思った矢先、いきなりこの世界に立っていたときは頭でも狂ったかと思ったよ。」


ゆっくりとグラスを傾け窓際に立ち上がる。

綺麗な満月が港を照らしていた。


「ラプラスの棺――その力を私が手に入れ、この世界の王に君臨する」


 乾いた笑い声が、部屋の中に響き渡った。



---


誤字脱字がかなり多いと思われます。

それでも気にしない方はどうぞお読みください。

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