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不思議な邂逅

「ここがミルの結界領域」


そう呟き、もう一度周りを見渡す。はるか昔に滅んだ都市のような場所にカイリは一人、ポツンと突っ立ていた。


「はっ!みんなは!?」


ふと思い出したかのように後ろを振り向いたが、領域はカイリが入ってきたはずの後方彼方へと続いており出口のようなものは見当たらなかった。


(みんなが領域に入れてるならここから出てくるはず、、、僕しか入れなかったのかな、、、)


緊張を解くため、深呼吸をし、ジッと周りをもう一度見渡す。もう一度、もう一度。


「、、、あれ?」


不意に記憶の奥、脳を直接触られる感覚がする。はるか昔の記憶。


「この景色、、、見たことある」


少し考えては、迷わず歩みを進めだす。


「、、、行くしかない」


その足には焦りがあった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「うわ~、なんか幻想的」


カイリが見た景色と似た土地に一人たたずむ。それはリオンであった。


「っていうかみんなは?同じタイミングで入ったと思ったけど~、、、」


カイリの後、全員で結界領域に足を踏み込んだリオン達。カイリ同様、ほかの姿は周りになかった。


「お連れの方はほかの場所にいらっしゃいます。」


ガチャ


素早く武具を手に取り、謎の声の方向へと振り返るリオン。


「初めまして久我 リオン様。私はツキと申します。」


そこには黒と白の動きやすいメイド服のようなものを着た小柄な女性が。


リオンは視線を外さず少し後ずさりし、臨戦態勢を崩しはしなかった一方、ツキを名乗るその女性はあまりにも無防備に手を前で重ね、頭を下げたままその場から動きだそうともしなかった。


「あなたは、、、何者?」


国センから特別に持ち出しを許可された槍から手を放さずリオンは聞く。


その言葉を聞き、初めて白い髪を上げるツキ。片目の瞳孔は青色の結晶のような美しさを醸し出していた。


(結晶人!?、、、いや、それに近しい血縁関係、って感じか)


彼女のゆっくりと、落ち着き動きと雰囲気のせいか、少し臨戦態勢を緩めるリオン。

それを見てツキは少し頬を緩める。


「ほんの少しでも信用していただけたようでよかったです。ミル様からリオン様を領域の中心へと導く命をいただき、参上してまいりました。改めてよろしくお願いします。」


スカートの両端を持ちもう一度頭を下げる。突拍子のない展開からかリオンは臨戦体制をといてしまった。


「え~と、、、説明してほしいことが山ほどあるな~、、、」


「どんな質問でもお答えします。」


頭を下げながら即答する。


「あ、え~とじゃあ、、、ツキ、、、さん?あなたのことについてもう少し詳しく教えて欲しいな」


まだ少しの懐疑心を残しつつ下げた頭に質問した。


「分かりました。お答えします。しかし、ここからミル様への道なりはかなりの距離を有しますので、歩きながらお話しさせていただいてもよろしいでしょうか?お手荷物をお持ちいたします。」


心落ちつく声でゆっくりと律儀に答えるツキ。その言葉をいったん鵜呑みにし、手に持っていたトランクケースを渡す。リオンは燦々とした太陽に照らされたボロボロの道路の上、ツキの後ろをゆっくりと歩き出した。


「改めて、私はツキと申します。苗字はありません。そのままツキとお呼びください。」


「はあ」


腑抜けた返事をする。


「私は結晶人・ミル様の付き人でございます。いつからかは、、、もう忘れてしまいました。」


「はあ、、、ぁぁあああ!?付き人!?ハルさんと同じ!?」


今までとは違い少し驚いた表情で振り向くツキ。


「ハルさん、、、懐かしい響きです。現役なのですね?安心しました、、、無事で何よりです。」


意味深な発言が聞こえたリオンの意識は一瞬にして付き人というワードに再び持っていかれた。


「付き人ってことは~、、、強いの?やっぱり警戒しといたほうがいい?」


質問する相手を完全に間違えるリオン。お人よしが過ぎることは本人すらも気づいていないらしい。


「いえ、私は一切の戦力を有しておりません。少しエネルギーが見えるくらいで。リオン様が少し槍を振れば吹き飛んでしまうほどでございます。警戒の方は解いていただいて大丈夫です。」


一つ一つ律儀に答えるツキ。リオンは足場にたまる水が靴につくことを気にしつつも話を続ける。


「んまぁ~、ここまで来たら信じるか~、、、それじゃあみんなは?私以外に領域に5人は入ってきたと思うんだけど!どこかにいる?」


ぴちゃぴちゃとあまり水に気をかけずツキは進む。目の前には都会にある箸休めのような森があり、そこに入る一歩手前。ツキはゆっくりと振り返り、質問に答えだした。


「リオン様と一緒に入ってきたお客様はそれぞれ異なる場所に飛ばされております。それ以外の方々はミル様からさらに遠くに」


「え?私たち6人以外に誰かいるってこと?だれ?」


疑問を投げかけたが、首をゆっくり振り回答を流される。


「申し訳ありません。ミル様から"答えるな"と。領域について考えることも試練の一つだとおっしゃっていました。」


ぷら〜ん


「あ〜、え〜っと、、、じゃあそれも試練のうちの一つでいいのかな?」


顔を引き攣りツキに聞く。


「はい。おそらく。」


ぷら〜んぷら〜ん


「大丈夫そう?、、、多分大丈夫じゃないけど」


「どうでしょうか、、、少し命の危機を感じてはおります。」


ぷら〜んぷら〜んぷら〜ん


宙に浮くツキ。触手が彼女の服を掴む。


「そ、そう、、、落ち着いて、私の荷物を」


「ボクモマゼテヨ〜」


荷物をツキから預かろうとしたその手は森の中から出てきた得体の知れないモノを見て止まった。


「ヒトリニスルナンテ イジメジャナイカ〜  ユルサナーイ」


日の明かりが、森から出てきた丸い脳みそ、それを中心に伸びる8本の触手。一本一本には吸盤に、溝のようなもの、人間の声帯に似た生々しい器官を映し出す。


巨大な体が木々を押し潰して這い近づいてきた。


「ゲンソゾク 二 シラナイメス

 、、、、、

 メインディッシュジャナイカー!!!」


小さくも雄大な自然とビル、電車のレールなどが大きく揺れるほどの声がこだまする。そんなモノがリオンに近づきもう一言。


ねちゃねちゃ


「イタダキマ〜ス」




「まじかよ、、、」

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