渦巻く陰謀
あの事件の後カイリは一人、追放者とミル、そしてそれらと自分の関係性について調べていた。
(もし、標的が本当に僕なら狙われるようになった原因は能力だと思うんだよなー)
大会で能力を使用してすぐに起きた事件。そこからカイリは自分の能力・コピーに目を付けたのだ。
(大体、こんな能力過去にあったのかな?人の能力をマネできて、神器も範疇の外ではない。聞いたことないけど、、、偶然なの?)
過去の特異な能力なども調べたが、元素族や神器以外の能力でこれといった異質なものは出てこなかった。
(僕についての記事、、、結構多いな。いいこと書かれてる方が少ないけど)
多くのニュースに取り上げられた夏の大会。しかし、飛び交うのは憶測、どれを見てもカイリの能力の解明につながるようなものは載っていなかった。
(もう少し自分の能力について調べてみよう。どこかに有力な情報があるかも!)
そう考え、指を動かしたが数分後にはミルについて調べることに没頭していた。
そしてそれらの事実はカイリの頭を悩ませるものとなる。
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次の日、もう一度ユナのもとへ訪ねたカイリ。得られた情報は一週間後にユナが返ってくるという情報だけであった。
「はぁ~、一週間後かー」
カイリ以外の三人は引き続きトレーニングをしていた。誰もいないグラウンドで一人、しゃがみ込む。何かしようにもあの事件以来、脳裏にミルのことがちらつくのだ。
あの事件が偶然のモノではないのなら、地方大会への出場もままならなくなる。カイリは自分のことだけでなく、朱莉にリオン、遊里のことを心配していた。
「優秀な人たちのチャンスを僕が、、、それにクラブ参加希望書も、、、」
しばらく黙考した後立ち上がり、指導室に入っていった。
その日の夜。
くたくたで千鳥足になりながら朱莉は指導室に帰ってきた。
「あー、疲れたー!スランプだー!なんもできんー!」
そんな言葉を大きな声で元気よく響かせている。カイリはその姿を微笑みながら見ていた。
「リオンと遊里君は?まだ外?」
反対側で上半身を机に乗せながら少し頭を上げる。
「あー、なんかまだトレーニングするらしいぜ、すごいよあいつら。スゴい超えてキモいもん」
朱莉の冗談まじりのセリフを笑いながら外に出て二人を確認しに行くカイリ。
少し涼しくなり始めた暗闇の中、二人は今からトレーニングを始めるかのようにストレッチをしていた。
「二人ともまだやるの?すごいね、ほんとに」
歩きながら二人の背中をほめる。
その言葉にリオンだけが振りむいた。
「まあ、強くなっとかないとね~今のうちに」
何か含みを感じたカイリは頭を傾けた。
「これからどうせ何回か戦闘するでしょ!多分」
何かを悟られている感じがして口をもごもごするカイリ。
「実はミルについて」
「指導者を辞めるなんて言わないよね?」
どこか棘のある疑問形。鋭い一言に驚きを隠せなかった。
「え?なんでそれを」
腰に手を当て呆れたように説明しだすリオン。
「最近ずっとミルのこと調べてるもん。私もミルに関係した黒い話をたくさん聞かされたからわかるけど、調べてたら怖くなってきたんでしょ?」
小さく頷く。
「こんな事件に私たちを巻き込みたくないって思ってるんでしょ?クラブ参加希望書も放置してるし」
すべてを察されていることに気づきすべてを話すことに決めた。
「何も知らない人たちを巻き込むわけにはいかないよ。何より僕の評判は悪いし、実際にそれでみんなも影響を受けてる。それに加えて危険な神器も持っちゃってる、、、こんなの指導者を続けるべきじゃない」
背を向けている遊里すらも溜息を吐いていたのが見えた。
「じゃーあ、私たちを信用してないんだ~。評判が落ちるだけでメンタルが傷つくと思ってるんだ~。ミルに関与すればただじゃすまないと思ってるんだ~、、、カイリ君を死なせると思ってるんだ」
そんなこと思っていないと否定しようとしたが、そう思わせてしまったのかもしれない、という罪悪感から頭が上がらない。
「はあ~、、、そんなこと考えてないのは知ってるよ?私たちを心配してくれたんだよね?ありがとう。でもせめて私たちだけでも信頼してほしいな~。なんて」
体を横に傾け、カイリの顔を見ようとしながら優しい口調で慰めるリオン。
遊里もカイリのほうへ体を向けた。
(^_-)-☆
指導室を見るカイリ。
「大丈夫だよ朱莉は。ど~せついてくる。何より、友達のことは絶対ほっとけない主義だからね」
リオンの一言に納得させられる。
「あの事件についてはきっと大丈夫。神器も、私たちが死なせやしないから」
そんな励ましの言葉。今までずっと考え込んでいたことが故に、すぐ頷くことはできなかったがほんの少し、カイリの心に続けようという意思が沸いた。
「、、、ありがとう」
クスっと笑っては雰囲気をよくするために両拳を掲げ、元気な声で言った。
「よ~し!そうと決まればトレーニング頑張るぞ~!」
その日は朱莉も連れ出され、強制参加で遅くまでトレーニングをさせられた。
「なんでオレまでー!!」
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「これは由々しき事態だ!何が言いたいか、分かるな!」
「討伐したい気持ちは山々ですが、向こうはカイリ君の前にだけしか現れませんよ?」
「貴様ー!なぜそんなことを知っている!犯罪者と手を組んでいるのか!」
「逆に言えば彼を使えばおびき出せるのですよねー?ならそれを利用すればいいじゃないですかー」
「お断りします。」
「フッ、女が歯向かうなよーめんどくさいなー。こちらの指示に従ってればい い ん だ。」
「彼らは自ずと交じり合います。私たちがすべきことは何もありません」
「誰があなたの言うことを信じるんだ!勝手に追放者とコンタクトを取るような人間のことを!それにそんな茶番を待っていられるほど私たちも暇じゃない!」
「、、、自ずと交じり合う。それはどんな結末をたどるんだ。」
「彼女にしかわかりません。ただ、一般市民には被害が出ないと私は考えます。」
「なるほど。」
「指揮官!この女の言う通り待つつもりじゃないですよね!」
「さすがに非効率で確実性もないですよー」
「西日本の代表が選択を彼らに任せると言っているんだ。それに従おうじゃないか。」
「ありがとうございます。」
「そんな!本当に討伐できるかわからないのですよ!」
「いつ頃になるかもわからないんじゃねー」
「安心していい。ミルはどうせ、すぐに死ぬことになる。」
「なぜそんなことが?」
「さあ。ただ、思っていたよりも私たちにとって都合がいい結末になると、そう考えているだけだ。」
「、、、」
「あなたたちは何もわかってないないように感じますが?」
「本当に何もわかっていないのはあなたの方だ、会長。私は彼女が一般市民を巻き込まないとは思わないがね、、、もちろん彼も」
「一体何をおっしゃっているのでしょうか?」
「物語というのは、主人公以外の外的要因でいくらでもエンディングは変わる。」
「、、、何をした。」
ユナは急いで振り返り、早々と三人の男に背を向け外に出た。その手には大きな腕輪が。
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同時刻、夜の国センにて
校門前、カイリ達がよく使う小さなグラウンドの反対に位置する大運動場。国センの選手のほとんどがここで練習をするため、多くの人でにぎわう。この日以外は。
「おい!なんだあれ!」
「ほんとに大丈夫なの?私たち!」
「人が多すぎて逃げらんないよ!」
「ほんとに敵なの?」
生徒たちがグラウンドから逃げるように、校舎側に込み合っていた。
「落ち着いて校舎に戻れ!戻るんだ!」
「こっちに来ちゃダメー!みんな戻ってー!」
「グラウンドに出るな!避難しろー!」
国センに所属する先生や指導者が避難を促すが、数が多すぎた。校舎への入り口はまともに入れる状況ではない。
グラウンドに集まった生徒たち。それはカイリ達も例外ではなかった。
「なにこの人混み!なんかあったの?!」
「知らねえな、さすがに異常事態だってオレでもわかるが」
人混みに糸をさすように、その先を見ようと顔をのぞかせる。
「、、、あれは」
最初に先の景色が見えたのは朱莉だった。
「あれは、、、なんて数だ、、、」
カイリも怖いもの見たさか、必死に先が見える場所まで突き進み続けたが”そいつら”が見えた瞬間、足を止めた。
「なんで、、、」
唾をのんだ。
「なんで結晶体がこんなに、、、」




