手下三人組の報告の統括
「気合を入れて、潜入捜査でいろいろ見つけたものの調査結果がまもなく出ます」
いつの間にか目を覚ましていたムゴンが、たくさんの機器を並べてなにやらがさごそとしている。
「・殿下のキャビネットの粉薬
・殿下のキャビネットの毛染め薬
この二つについて、ムゴンの作った機器で調べることができます!」
胸を張る手下①②に、照れたように俯くムゴン。
「ムゴン優秀じゃん!?」
あたしも褒めると、ムゴンはもっと照れた。何あれウケる。
「ミシェル様……」
なんかすっごい色気ふりまいてそうなムサルトの気配を横から感じるんだけど、あたし、絶対そっち見ないからね!?
「ムサルト特製お茶請けセットですよ。ムサルトも優秀ですよね?」
「ふぉ!?」
思わず振り向いたあたしは、ムサルトの色気に中てられないよう気を付けて、お茶請けセットに手を伸ばす。が、なぜか取れない。ムサルトが絶妙に届かない距離に動かしてしているようだ。
「……ミシェル様」
「わーかったって、もう!! ムサルトも優秀ですぅ! ムサルトが一番できる男ですぅ!」
あたしの言葉に満足したようにムサルトがあたしの口につまみをいれる。
その様子を見ていたお父様が言った。
「ミシェルとムサルト、いちゃつくなら後にしてくれ」
「い、いちゃ!? いちゃついてなんかいないし!」
「承知いたしました」
二者二様の反応を見せたあたしたちは放置され、手下①が続きを話す。
「いちゃついているお二人はさておき、殿下のキャビネットの粉薬と毛染め薬についてっす。粉薬は、何種類かあったように見えたので各種類の説明をします。粉薬は、洗脳作用のある王家秘蔵の堕胎薬、声変え用の薬、病気を偽る薬のようでした。また、毛染め薬は殿下が現在常用しているようで、枕についていた毛を分析したところ、地毛は藍色のようです」
「藍色……?」
「王家に藍色の髪の人なんていないですわ……」
お父様とお母様が息を呑んでそう言った。
「複数人の証言で、殿下が病気をしてから変わったという意見があります。以上が手下三人組からの報告です。詳細については、資料をご確認ください。質問がありましたら、お願いします」
手下①がそうまとめ、お母様が神妙な面持ちでお父様に言った。
「……殿下になにかあったのかもしれませんね。薬を飲んで病気を装ってから、行動を変えた……。追い詰められるようなことがあったのでしょうか。殿下に謁見許可を取りましょうか?」
「そうだな。早急に準備しておこう」
あたしは意気揚々と言った。
「とりま。メイドチャンがお手付きでピンク頭のメイドの双子ってわかったから、呼び出してこ!」
「ミシェルをあの子に合わせるのは気が進まないが、仕方ない。呼び出しておく」
「よっしゃ!」
「絶対に怯えさせるんじゃないぞ!?」
「はーい!」
そうしてあたしは、ムサルトの出した手を取って部屋に戻った。疲れたし、ドレス脱いでだらってしよう。




