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目撃者②大臣

「また、お前たちか」


 部屋に入って早々、どかりと椅子に腰掛けた大臣。椅子がマジで壊れる五秒前。


(ミシェル!?)


「わしの見た内容を教えろ、とな。少し見目がいいからと言って、陛下に重用されていい気になるなよ」


(あ、)


 椅子は音を立てて崩れた。部下らしき人が慌てて助け起こしている。部下らしき人、なんで毛布持ってるの? やばたにえん。


「だ、大丈夫ですか?」


「ふん! 陛下がお前たちに期待していないことが、これでわかったな」


 無理やり過ぎる発言に、言葉を失うお父様(パパ)。前回より塩対応なのは、あたしたちが陛下に愛されちゃってるせい? 自分の派閥の危機のせい?


「その美貌で陛下を籠絡したのか?」


 あたしの身体を上から下まで舐めるように見てくる。


(きも)


(大臣のそれ、陛下にも不敬な気がするのだが……)


(なら、そう言ってやってよ! お父様(パパ)


「そ、その。その発言は、陛下に不敬になりかねないかと……」


(まじで言った! 小物なのに!)


「……ごほん。では、あの日わしが見たことを話そう」


(思いっきり話変えた!!!)


(お父様、頑張った?)


(頑張った、頑張った。小物なのに)


(お父様、小物小物言われすぎて悲しい……)



「あの日も遅くまで城に残っていた」


(うわぁ、ブラックぅ)


(遅くまでって……お父様、末端貴族でよかった)


「夜12時を回った頃だろうか」


(うわぁ……)


(お父様、尊敬しちゃう)


「部屋をノックする音が聞こえた。すでに部下たちは帰していたから、誰か忘れ物でもしたのかと思い、声をかけた」


(え、いい人? もしかして、いい人? 部下を先に帰すとかいい人?)


(お父様、定時ダッシュ決めるのやめて、部下を先に帰すようにするよ……)


(それはそれで、部下気まずくね??)


「おい、誰かいるのか、と問うた。でも、返事はなく、またノックが聞こえた」


(ちょいこわじゃん)


「仕方ないので、ドアのところに向かったのだ。すると、ドアを引っ掻くような音が聞こえた。流石におかしいと思い、軽い防御魔法を展開しながら、ドアを開いた」


(ホラーになってきた)


(まぁ、幽霊の目撃談について聞いているからな)


「廊下の端に、いたんだ……ピンク頭のメイドが……」


「それでどうなさったんですか?」


「ドアを勢いよく閉めて、叫んだ」


(思ったより可愛い反応してる)


「その時間も勤務している近衛兵やメイドが現れ、そんなものはいないと言われた」


(ちょっとかわいそうになってきた)


(お父様、そんな目にあったらちびっちゃう)


(汚ね)


(ぴえん)


「それが……あの日の全てだ……もういいか? 思い出したら怖くなってきた。あれを持ってこい!!!!!!」


(あれ?)


(あれとは?)


「はっ」


 そう言って部下の人は、大臣の肩に優しくピンク色の毛布をかけた。


(……え、かわいい)


(お父様もこのギャップは想定外)


(めっちゃ怖がってるし、とりま、帰らせてあげる??)


(そうだな……)


「その、思い出させてしまい、申し訳ございません。今日のところは一度、おかえりください」


「な!? こ、ここ、怖がってなんていないぞ!?」


 部下の人に支えられて、大臣は帰って行った。


(なにあれ、めちゃくちゃかわいいじゃん。今回の人は可愛さ選手権でもしてる??)


(お父様もあれは可愛すぎると思う)


(残りの聞きたいことは、手紙のやりとりにしてあげる?)


(そうだな)

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