表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/66

初登場!

「うわ、人間兵器が帰ってきた。絶対に部屋から出ないでおこう……」


 そう言った少年は、布団を頭まで被り、ベットの上で丸まった。


 ガタガタと震えながら怯えていると、真上の部屋から異音がした。


みし、ぎし、ばきっ


 少年が天井を見上げると、天井から真っ白い動物の足が現れた。


「めっちゃやばいかも!!」


 大の苦手なあいつの声が聞こえたと思ったら、女と聖獣が落ちてきた。


「あ、ごっめーん!!」


「うわぁぁぁぁあっぁぁぁ」


 血筋と思える華麗な条件反射で転がり避け、顔を上げると綺麗に微笑む絶世の美少女(悪魔)と目が合った。






「ただいま~! お姉サマのお帰りだよ! かわいいかわいいあたしの弟チャン♡」


 あたしは、部屋の隅で震えている弟を見つけ、そっと抱きしめた。突然天井が落ちてきたら、怖いに決まってるよね~。まじでごめ~ん!


「う、うわぁぁぁぁぁ、は、は、はなせ!」


「まったくもう、照れ屋サンなんだから!」



 ばたばたと暴れているものの、そう大して力を入れていないからか、簡単に捕まえられちゃうもんね!


「ちゃんと部屋の外に出て運動しないと、強くなれないゾ! お姉サマみたいに!」


 そうやって弟を堪能していると、部屋のドアが開き、お父様(パパ)お母様(ママ)が入ってきた。





「なにがあった……って、ミシェル!?」


 驚くお父様(パパ)に、お母様(ママ)があたしに向かって、人質取った犯人に対して説得するかのように話し始めた。


「ミシェルちゃん!? 早く、早く、その子を離しなさい!! あなたの要求は呑んであげるから、ほら、ドラゴンを拾ってきてもいいわ! あなたのお母様は悲しんでいます!」


 続いて、お父様(パパ)も語り始めた。


「ミシェル!! いい子だから、いい子だから、その子から手を放してこちらにきなさい! 早く!! ほら、するめがこっちにあるよ!」


「あたしは、人質を取った犯人かなにかか! それとも、野生の動物かなにかか!」


 思わず、ムサルトのほうを見ると、小さく首を振ってこう告げた。



「ミシェルお嬢様。こちらにおつまみセレクションをご用意いたします。お手をどうぞ」


「お前もか!」


 あたしは仕方なくムサルトの手を取り、ムサルトが用意したあたしのソファーにどかりと座った。



「ち、父上! 母上!!」


 我が弟は、お父様(パパ)お母様(ママ)のもとに駆け寄り、ぐずぐずと泣き始めた。


「こ、こ、怖かったです~」


「大丈夫か!? けがはないか!?」

「まぁ! 大丈夫? こんなにも長期間の接触は久しぶりだったから、ミシェルアレルギーの症状が出てないかしら? 息が苦しいとか、意識を失いそうな感じはない? 蕁麻疹が出てきたわね。誰か! 早く医師を手配なさい!!」


 え、なに? あたしが原因みたいな空気、やめてもらっていい?


「ミシェルお嬢様。本日のジュースは例の果実の生絞りジュースでございます。どうぞ、お召し上がりください」


 ムサルトは、あたしと家族たちの間に立ち、あたしの視界からそんな光景が見えないようにしてくれている。


「ほら、ムサルトが肉壁となって目隠ししてくれているわ。今のうちに、安全なお部屋に行きましょうね?」


「お前もそっち側か!?」


 お母様(ママ)の言葉を聞いたあたしが、突っ込みを入れると、ムサルトは微笑んだ。


「ミシェルお嬢様。お先に、お部屋の修理をいたしましょうか。修復魔法をお手伝いいただけますか?」


「え、ムサルトがあたしの知らない魔法を知ってる! 教えて、教えて」


 あたしはムサルトの手を取り、修復魔法の説明をがっつりと受けた。天才ミシェルちゃん、もっと天才になっちゃったかも!



「父上……母上……あの姉上(悪魔)を手玉に取るムサルト(義兄上)は、なんと素晴らしいお方なのでしょう……。僕には、神のようにみえてきました……」




 そう言って、弟はどこかへ連れ去られていった。おっかしーな。小さい頃は姉上って言いながら後ろをついてきたし、一緒にいろんな遊びをしたのに……。


 ちなみに、天井はあたしとムサルトのおかげできれいに直ったよ!


「さすがミシェルお嬢様。一度で完璧に習得なさいましたね」


「もっちろーん! これで、何を壊しても大丈夫!!」


 ちな、もふもふしていたジュレちゃんは、落下してすぐ人型に戻って部屋の隅で寝ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ