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救出隊!

「ミシェルお嬢様! あなたのムサルトが助けに参りました!」


 あたしと手下一匹と三人が買い食いしていると、ムサルトが現れた。


「ムサルト!」


 思わずあたしが声を上げ、ムサルトに抱き着いた。




「誰だ? この男。俺たちのご主人様が抱き着いたぞ?」

「うらやましいっす……」

「……」


「まて、ショック死するな、ムゴン! 黙って死にかけるなんて、心臓に悪いぞ!」

「というか、俺たちが誘拐犯ってバレたんじゃねーか!?」

「やべぇっす!」


 手下たちがなにやら盛り上がっていると、ムサルトの手にぶら下がっていた物体が動いた。


「……死ぬかと思った。あぁ、ミシェル、無事か。それよりも、誘拐犯の皆さんはご無事か!?」


お父様(パパ)、これ、拾ったの! 持って帰っていい?)


「ミシェル。このあたりなら人が少ない。自由にふるまっていいぞ? ……まさか、約束を守ってちゃんと猫を被っていたのか!? お父様、感動!!」


 外交問題にならない、とか訳のわからないことを言って喜んでいるお父様(パパ)に、あたしはかぶっていた猫を放り投げて、語って聞かせる。


お父様(パパ)、こいつら拾ったの。家に持って帰って、飼っていい?」


「お父様はいいけど……お母様(フライア)が何と言うか……」


 よし、もう一押しでいけそう!


「あんたたち、何か自己PRしてみ? あたしの家で雇われたいんっしょ?」




「あれ……俺たちのご主人様の口調がおかしいぞ……俺は幻覚を見ているのか?」

「奇遇っす。俺もみているっす」

「……ショック死するな! ムゴン!!」


⦅我のPRポイントか……何を見せようか迷うの⦆





「さすがミシェルお嬢様。最高です。初見殺しが決まってますね」


 なぜか固まっていた三人組は、意識を失いそうな奴にかかりきりになり、ムサルトはあたしを褒め讃えている。





「ジュレちゃん、行けるっしょ!」


「うむ。ご主人様。我の自己PRを始めるぞ!」








 自信満々に一歩前に進み出た幼女姿のジュレちゃんに、お父様(パパ)は不思議そうに首をかしげる。



「我は、国の繁栄を得意とする。国防の要にもなれるぞ。……ふむ、信じておらぬな? ご主人様、ご主人様の御父上の脳内に我の過去の映像を送ってもよいか?」



「もちもち! とりま、あとでそれのやり方教えてくれる? めちゃくちゃ便利そう!」


 ジュレちゃんの要望を容認し、幼子を見守るかのようにほほ笑んでいるお父様(パパ)を実験体として提供し、三人組のところへ向かう。


「承知した」


 ジュレちゃんは、お父様(パパ)に映像を見せ始めた。ま、お父様(パパ)は丈夫いし、大丈夫っしょ!





「ねぇ、あたしの手下三人組ぃ~」


「は、はい。呼び名はご主人様でいいすか?」


 下っ端くんが真っ先に返答する。


「あんたたち、三人もいてわかりにくいから、あたしが命名してあげる」


「あんたが手下①ね」


「俺が手下①」


「そう、あんた、先輩って呼ばれてたし、わかりやすくていいっしょ? で、あんたが手下②」


「俺が手下②っすね!」


「で、あんたが手下③」


「……」


「自己PRはこの順番で行くから、とりま、やること考えておいて~」



「はい!」

「はいっす!」

「……」(こくり)


 手下三人組が頷いたところで、お父様(パパ)が叫び声をあげた。


(ミシェル! ミシェル!!!!)


(なーにー? お父様(パパ)。あれ? 普通に話していいんじゃなかったっけ?)


(これが普通に話せる内容か! このかわいい女の子は、隣国……かの大国の聖獣ではないか! しかも、周辺諸国には存在が秘匿とされた!!!)


(うん、そうみたい)


(そうみたいじゃなくって……! しかも、従魔契約済みだと!? 返してらっしゃい!)


(やだ)


(やだじゃなくって!!!!!)


⦅……その、ご主人様の御父上。我はご主人様との契約に満足しておる。今更、元の国に戻されると……⦆


(餌もあたしが準備するからぁ!)


⦅我、ご主人様についていきたいのじゃ。……自分で餌をとるよりも、ご主人様のほうが確実だからのぅ⦆


(……白目)


(ほら、ドラゴン肉! あたしがとるから!!)


 さっき倒したドラゴンを収納魔法で取り出した。食べ過ぎてジュレちゃんがデブっても困るし、とりましまっておいたんだよね。


「ひぃいぃぃ。ドラゴンの幻覚ぅぅぅぅ!」

「やっぱり、幻覚っすか!? 幻覚じゃないっすか!?」

「……」


「死ぬな! ムゴン!!!」






「よっしゃ、次は手下①ね!」

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