第一章 1 ここはどこ。
光が落ち着いてきたと同時に
家とは違う匂いを、拓真の鼻が感じた。
「ハッ…… どこだ、ここ……」
そこは見渡す限りの木……だと思う
辺りが真っ暗でよくわからないが
辛うじて月明かりが気持ち程度照らしており
自分の近くだけは見える。
「まさか…… 森?」
先程までいや、数秒前まで家にいたはずなのに
何故か躓いたはずみで森に来てしまった。
「に、2次元でよくある 瞬間移動とかそういうやつなのか?」
とりあえず真っ直ぐ歩いてみることにしたが
どこまで歩みを進めてみても木しかなく
一向に森からの出口が見当たらない
「……俺、迷子なのか?」
拓真は、段々不安になってきた。
無闇に動くのをやめ、移動してしまった時と
同じように躓いてみることにした
その場でつまずくフリをするが、なにも起きない
今度は地面から飛び出ている木の根っこに
つまずいてみるが、これも何も起きず。
拓真は暗い表情になり、近くにあった大きな木に
もたれ掛かるように座った瞬間
ハッと閃いた表情になった。
「あ、ドアじゃないとダメなのか」
風がビューと音を立てて吹いた
12月ももう終わりというのにそこまで寒くない
どちらかといえば、まるで秋のような春のような
寒さと暖かさを感じる。
「……とりあえず寝てみよう」
落ち葉をかき集めその上で寝てみることにした
少々土の香りがするが自分の体温で気持ち暖かくなり
短時間寝る分には、問題ない。
「起きてからまたどうするか考えよう…… 」
こんな所に2日も3日も居たくない
明日は帰れることを心の中で祈りながら
拓真は、目をとじた。